Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150 gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480 mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。 産褥5日。Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来た。AさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
産褥期において、上の子どもが赤ちゃん返りすることはよく見られます。これは、母親の愛情が赤ちゃんに奪われたと感じることで生じる不安や嫉妬心の表れです。この時期の子どもに対しては、無理に兄・姉としての役割を押し付けるのではなく、子どもの感情を肯定的に受け止め、赤ちゃんの世話に一緒に参加させることで、新しい家族の一員としての役割を自然に受け入れられるように促すことが重要です。これにより、赤ちゃんへの嫉妬心を軽減し、愛着形成を支援することができます。
選択肢ごとの解説
- 1. B君が好きなものを食べることは悪いことではありませんが、根本的な問題解決にはつながりません。赤ちゃん返りの背景にある感情を受け止め、新しい家族構成に適応できるようサポートすることが重要です。正しくは:「B君が好きなものを食べても良いですが、同時に新しい役割への適応を促す関わりが大切です」選びやすい理由:子どもがストレスを感じているとき、一時的に好きなものを提供することで気分転換になる可能性があるため、一見すると良い対応に見えるかもしれません。混同注意:子どもの要求に応えることが常に良いことと捉えがちですが、この状況では感情的なケアが優先されます。
- 2. 母親であるAさんが完全にB君の世話から離れると、B君は母親に拒絶されたと感じ、さらに不安を募らせる可能性があります。母親とB君の絆を保ちつつ、父親も育児に参加することが大切です。正しくは:「B君のお世話はご主人にも協力してもらいつつ、AさんもB君との時間を作るようにしましょう」選びやすい理由:Aさんの負担軽減を目的とした選択肢と捉えられるかもしれませんが、B君の感情を考慮すると適切ではありません。混同注意:母親の産褥期の身体的負担軽減という側面だけを考えると、夫に任せるという選択肢が良いと誤解しやすいです。
- 3. 正解。赤ちゃん返りしているB君にとって、赤ちゃんは母親を独占する存在と感じられがちです。B君を赤ちゃんの世話に巻き込むことで、「自分も家族の一員として大切にされている」「赤ちゃんのお兄ちゃん(お姉ちゃん)としての役割がある」と感じさせ、赤ちゃんへの嫉妬心を軽減し、新しい家族構成への適応を促すことができます。正しくは:この選択肢は適切です。選びやすい理由:B君が赤ちゃんを嫌がっている状況なので、一緒に世話をするのは難しいと感じるかもしれませんが、この働きかけがB君の感情を肯定的に変化させる重要なステップです。混同注意:B君の「赤ちゃんを連れてこないで」という発言から、赤ちゃんから遠ざける方が良いと誤解する可能性があります。
- 4. B君はまだ幼く、赤ちゃん返りという形で新しい環境への戸惑いや不安を表現しています。この時期に「しっかりするよう」と一方的に諭すだけでは、B君は自分の感情を否定されたと感じ、さらにストレスを抱え込む可能性があります。まずはB君の感情を受け止めることが先決です。正しくは:「B君の感情を受け止めた上で、少しずつ新しい役割について優しく伝えていきましょう」選びやすい理由:長子としての自覚を促すことは最終的には必要ですが、この段階で一方的に「しっかりする」ことを求めるのは、子どもの感情を無視することにつながるため、適切ではありません。混同注意:親が子どもに責任感を持たせたいという気持ちから、この選択肢を選びたくなるかもしれませんが、子どもの発達段階と感情を考慮すると不適切です。
国試ポイント
産褥期における上の子どもへの心理的支援と、その具体的な対応について理解しているかが問われています。特に、赤ちゃん返りのメカニズムと、子どもが新しい家族構成に適応するための関わり方がポイントです。
混同注意
子どもの要求にどう応えるか、母親の負担軽減をどう考えるか、子どもの自立をどう促すかといった点で、他の選択肢も一見すると良さそうに見えますが、子どもの発達段階と心理的側面を深く理解しているかが問われます。
次に同じ論点が出たら
同様の事例で、さらに感情表現が激しい子どもや、別の兄弟構成の場合における具体的な対応策を考察できるか。
関連知識
赤ちゃん返り、きょうだい間の嫉妬、マタニティブルーズ、産褥期の母親の心理、子どもの発達段階、家族看護。