Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150 gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480 mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。 Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70 mmHgであった。このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは後陣痛による強い痛みを訴え、睡眠不足や授乳時の発汗など、苦痛が大きく日常生活に支障をきたしている状態です。後陣痛は子宮収縮による生理的な痛みですが、痛みが強すぎる場合は鎮痛薬の使用を検討し、苦痛を緩和することが看護師の重要な役割です。授乳は子宮収縮を促し後陣痛を強めることがあるため、授乳と鎮痛薬の使用を調整することも必要になります。医師への相談を通じて、Aさんの痛みを和らげ、休息を確保することが最優先の対応となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 授乳は子宮収縮を促進し、後陣痛を強めるため、痛みが強い状況で無理に授乳を促すのは適切ではありません。まずは痛みの緩和を優先すべきです。正しくは:後陣痛の痛みが強い場合は、無理に授乳を促すのではなく、まず痛みの緩和を考慮する。選びやすい理由:授乳は母子関係の確立や子宮復古に重要であるため、一見すると正しい選択肢に見えるかもしれない。しかし、痛みが強いという訴えを無視してはならない。混同注意:授乳が子宮収縮を促す効果は知られているが、それが後陣痛の痛みを悪化させるという側面への配慮が欠けている。
- 2. 分娩翌日であり、会陰裂傷の縫合術を受けているため、感染予防の観点から入浴は推奨されません。シャワー浴であれば可能となる場合もありますが、一般的にはもう少し様子を見ることが多いです。正しくは:分娩後すぐの入浴は感染リスクがあるため控える。会陰部の状態を確認し、医師の指示に従う。選びやすい理由:清潔保持は重要だが、分娩直後には感染リスクが高まるため、入浴は慎重に判断する必要がある。混同注意:入浴は身体を清潔に保つ行為であるため、良いことだと捉えがちだが、傷口の回復や感染リスクを考慮すると時期尚早である。
- 3. 骨盤底筋体操は骨盤底筋群の回復に有効ですが、分娩直後、特に会陰裂傷の縫合術を受けている状況では、まずは会陰部の安静と回復を優先すべきです。痛みがある状態で無理に行うのは適切ではありません。正しくは:骨盤底筋体操は会陰部の状態が落ち着いてから、痛みのない範囲で始めるように指導する。選びやすい理由:骨盤底筋体操は産後の回復に非常に重要であるため、早期に開始すべきという知識から選択しがちだが、分娩直後の身体的負担を考慮する必要がある。混同注意:産後の回復期全般で推奨される体操であるため、いつ始めても良いと誤解しやすい。しかし、縫合術後であるため、傷への負担を考慮する必要がある。
- 4. 正解。Aさんは後陣痛による強い痛みを訴え、睡眠障害や発汗を伴っています。これは鎮痛薬の適用を考慮すべき状態であり、医師に相談して適切な処方を受けることが、Aさんの苦痛を和らげ、休息を確保するために最も適切な対応です。後陣痛は授乳によって強くなることがあり、痛みが強いと授乳継続にも支障をきたす可能性があります。正しくは:この選択肢は適切であるため、修正の必要はありません。選びやすい理由:特に問題ありません。混同注意:特に問題ありません。
国試ポイント
産褥早期の後陣痛による苦痛に対する適切な看護介入が問われています。後陣痛の生理的機序(授乳による増強など)と、それに対する薬物療法を含む苦痛緩和の重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
産褥早期のケアは多岐にわたるため、他の選択肢も一見すると良さそうに見えます。しかし、Aさんの現在の主訴である「強い痛み」とそれによる「睡眠不足」に直接的に対処できる選択肢を選ぶ必要があります。
次に同じ論点が出たら
鎮痛薬の使用が決定された場合、その効果を評価し、副作用の有無を確認する。痛みが緩和されたら、授乳の再開や継続をサポートし、休息が取れているかを確認する。
関連知識
後陣痛の発生機序(子宮の復古、オキシトシン作用)、後陣痛の痛みの評価方法、産褥期の身体的変化とそれに伴う症状(悪露、会陰部痛、排尿障害など)、授乳と子宮収縮の関係、産褥早期の休息の重要性、産褥体操の開始時期、感染予防。