Aさん(28歳、初妊婦)は、夫(30歳、会社員)と2人暮らし。妊娠37週0日で妊婦健康診査のため来院した。身長160 cm、体重62 kg(非妊時体重54 kg)。血圧122/74 mmHg。Hb 12.1 g/dL、Ht 36 %。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢に軽度の浮腫を認める。子宮底長32 cm、推定胎児体重2,810 g。Aさんは「1時間に2、3回お腹が張ることがありますが、休んでいるとおさまります」と言う。 Aさんは「初めての育児なので不安です。実家の母が手伝いに来てくれる予定ですが、夫は忙しくていつも22時ころにならないと帰ってきません」と言う。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんが漠然とした不安を訴えている場合、看護師の最初の役割は、その不安の具体的な内容を傾聴し、明確化することです。具体的に何に不安を感じているのかを把握することで、それに応じた適切な情報提供や精神的サポート、必要に応じた社会資源の紹介など、個別性のある支援が可能になります。これは看護過程におけるアセスメントの重要なステップであり、最も基本的な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 新生児訪問指導は重要なサポート機会ですが、Aさんが今まさに感じている不安に対しては、その場で傾聴し、現時点での具体的な不安内容を掘り下げることが優先されます。後回しにすることは、Aさんの不安を増大させる可能性があります。正しくは:「新生児訪問指導でも詳しくお話しできますが、もし今、具体的な不安があればお聞かせいただけますか」などと、現在の傾聴の姿勢を示しつつ、将来のサポートも示唆する。選びやすい理由:新生児訪問は重要な制度であり、そこで専門職に相談できるのは正しい情報源なので、一見適切な対応に見える。混同注意:将来的なサポートと、現在の傾聴の必要性の区別。
- 2. 夫の帰宅時間は、仕事の都合など様々な要因で決まっており、Aさんが簡単に変えられるものではない可能性があります。看護師が直接介入を促すのは、Aさんにさらなる負担やプレッシャーを与え、夫婦関係にまで踏み込む不適切な対応です。まずAさんの不安に焦点を当てるべきです。正しくは:「ご主人の協力について、何かできることがあれば一緒に考えましょう」などと、Aさんの気持ちに寄り添いつつ、夫婦の状況を尊重する姿勢を見せる。選びやすい理由:育児は夫婦の協力が不可欠であるため、夫の関与を促すのは適切に思える。混同注意:夫婦間の問題への直接介入と、患者の感情への寄り添いの区別。
- 3. Aさんは実母が手伝いに来てくれる予定であると述べており、まずはそのサポート体制を肯定的に受け止めるべきです。また、すぐに別のサポートを探すよう提案することは、Aさんに新たな課題を押し付ける形になりかねません。まずはAさんの具体的な不安内容を聞き、必要に応じて他の社会資源の提案を検討する段階です。正しくは:「お母様が来てくださるのは心強いですね。他に何か心配なことはありますか」などと、まず現行のサポートを肯定的に捉え、Aさんの話を引き出す。選びやすい理由:育児サポートは多い方が良いという一般論から、追加のサポートを提案するのは良いことだと判断しがち。混同注意:現在のサポート状況の把握と、安易な追加サポートの提案の区別。
- 4. 正解。Aさんは「初めての育児なので不安です」と漠然とした不安を訴えています。看護師が最初に行うべきは、その漠然とした不安の具体的な内容を傾聴し、明確化することです。具体的な不安が分かれば、それに対する適切な情報提供や支援計画を立てることができます。これは看護過程の「アセスメント」に該当する、最も基本的な対応です。
国試ポイント
新規母親の出産後の心理状態(マタニティブルーズや産後うつへの早期対応を含む)と、それに対する看護師の傾聴とアセスメントの重要性。また、具体的な問題解決を促す前に、まず患者の感情や状況を理解しようとする姿勢が問われる。
混同注意
新生児訪問指導や夫の協力、他のサポート体制は確かに重要だが、これらはAさんの具体的な不安内容を把握した上で、必要に応じて提案されるべき後続の対応である。目の前の患者の訴えに対して、まず何をするべきかという優先順位が問われている。
次に同じ論点が出たら
Aさんの具体的な不安内容が把握できた後、その内容に応じて、情報提供(授乳、沐浴、睡眠など)、育児技術の指導、精神的なサポート、地域の育児支援サービスの紹介、必要であれば医療機関への相談を促すなどの対応を検討する。
関連知識
マタニティブルーズ、産後うつ病の兆候とスクリーニング、出産後の心理的変化、母子保健法に基づく新生児訪問指導、産後ケア、地域における育児支援サービス。