術後の創傷治癒が遅延する因子となる検査値はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
創傷治癒には、十分な栄養状態、特にタンパク質が不可欠です。アルブミンは血漿タンパク質の約60%を占め、体内のタンパク質栄養状態を評価する重要な指標の一つです。血清アルブミン値が2.2g/dLと低い場合、重度の低栄養状態を示しており、これはコラーゲン合成の低下、免疫機能の低下、浮腫の発生などにより創傷治癒を著しく遅延させる主要な因子となります。その他の選択肢は、提示された数値では創傷治癒の遅延に直結するような異常値ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。血清アルブミン値が2.2g/dLと低い場合、低栄養状態を示唆しており、タンパク質は創傷治癒に必要なコラーゲンの合成や免疫機能の維持に不可欠であるため、創傷治癒の遅延因子となります。特に2.5g/dL以下は重度の低栄養と判断されます。正しくは:血清アルブミン値が基準値内(3.8〜5.2g/dL程度)である。選びやすい理由:他の選択肢も病態によっては創傷治癒に影響を与える可能性があるため、数値と病態の関連性を正確に判断する必要があります。混同注意:他の選択肢と異なり、アルブミンは直接的な栄養状態を示す指標であるため、創傷治癒における栄養の重要性を理解していないと迷うかもしれません。
- 2. 推算糸球体濾過量(eGFR)が62mL/分/1.73m²の場合、軽度から中等度の腎機能低下を示しますが、これは直ちに術後の創傷治癒を著しく遅延させる直接的な因子とは言い切れません。確かに腎機能低下は全身状態に影響を与えますが、この数値単独では最も優先される遅延因子とは判断されにくいです。基準値は90mL/分/1.73m²以上とされます。正しくは:eGFRがより低い値(例: 30mL/分/1.73m²未満)であれば、創傷治癒遅延の可能性が高まります。選びやすい理由:腎機能低下は体内の老廃物蓄積や電解質バランスの異常を引き起こし、全身状態の悪化を通じて創傷治癒に影響を与える可能性があります。混同注意:腎機能障害が重度であれば創傷治癒に影響しますが、提示された数値では軽度であり、低アルブミン血症ほどの直接的な影響は少ないと判断されます。
- 3. 動脈血酸素分圧(PaO₂)が88Torr(room air)の場合、これは正常範囲内(80〜100Torr)であり、創傷治癒に必要な酸素供給が不足している状態ではありません。創傷治癒には十分な酸素供給が必須ですが、この数値は問題ありません。正しくは:PaO₂が低下している場合(例: 60Torr以下)は、創傷治癒遅延の因子となります。選びやすい理由:酸素供給の不足は創傷治癒の遅延に大きく関わるため、PaO₂の数値に注目しやすいですが、提示された数値は正常範囲です。混同注意:酸素分圧の基準値を正確に理解していないと、わずかな変動を異常と捉えてしまう可能性があります。
- 4. ヘモグロビンA1c(HbA1c)が5.5%の場合、これは正常範囲内(通常6.0%未満)であり、糖尿病や高血糖状態を示唆していません。高血糖は創傷治癒を著しく遅延させる因子ですが、この数値ではそのリスクはありません。正しくは:HbA1cがより高い値(例: 7.0%以上)であれば、創傷治癒遅延の因子となります。選びやすい理由:糖尿病は創傷治癒を著しく遅延させる重要な因子であるため、HbA1cの数値に注目しやすいですが、提示された数値は正常範囲です。混同注意:HbA1cが創傷治癒に与える影響は大きいですが、提示された数値が正常範囲内であることを見落とすと誤った判断をする可能性があります。
国試ポイント
術後の創傷治癒遅延に影響を及ぼす因子として、栄養状態(特に低アルブミン血症)、血糖コントロール不良、酸素供給不足、感染、循環不全、免疫抑制などが挙げられます。各検査値が示す病態とそれが創傷治癒に与える影響を正確に理解しているかが問われます。
混同注意
各検査値の基準値とその臨床的意義を混同しやすい。特に、糖尿病による創傷治癒遅延は有名だが、提示されたHbA1cは正常値である点を見抜く必要がある。また、腎機能低下も全身状態に影響するが、提示されたeGFR値は軽度であるため、低アルブミン血症ほど緊急性・直接性が高い遅延因子とは言えない。
次に同じ論点が出たら
この問題で創傷治癒遅延因子を特定できた場合、次に「低アルブミン血症の患者に対する看護介入として最も適切なものは何か」といった、具体的な看護実践に繋がる知識を問われる可能性があります。
関連知識
低アルブミン血症は、創傷治癒だけでなく、薬剤の結合能低下、浮腫、感染リスク増加、術後合併症のリスク上昇など、全身に様々な悪影響を及ぼします。そのため、術前からの栄養管理が非常に重要です。