神経線維には髄鞘のあるものとないものがあるが、活動電位に対する髄鞘の働きはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
髄鞘は、神経線維の軸索を覆う脂質性の絶縁体です。この髄鞘によって、活動電位はランヴィエ絞輪と呼ばれる髄鞘のない部分を飛び飛びに伝わる「跳躍伝導」を行います。跳躍伝導は、無髄神経線維の伝導(連続伝導)と比較して、はるかに速い速度で活動電位を伝えることが可能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 髄鞘は活動電位の発生頻度には直接関与しません。発生頻度は主に刺激の強度や神経細胞の興奮性によって決定されます。正しくは:刺激の強度が高いほど、活動電位の発生頻度は増えます。選びやすい理由:神経伝導の効率が全体的に上がるイメージと混同し、発生頻度も上がるように錯覚しやすいかもしれません。混同注意:刺激強度と活動電位の発生頻度の関係、またはシナプスにおける神経伝達物質の放出頻度と混同しやすいです。
- 2. 活動電位のピーク(過剰脱分極の最大値)は、主にナトリウムイオンチャネルの開口によるNa+流入量と膜電位によって決まり、髄鞘の有無や厚さでは変化しません。活動電位は全か無かの法則に従い、一定の振幅を持ちます。正しくは:活動電位のピークは、細胞外のNa+濃度やNa+チャネルの機能に影響されますが、髄鞘は直接関係ありません。選びやすい理由:伝導効率が上がると、活動電位自体がより強力になると誤解しやすいです。混同注意:活動電位の振幅と伝導効率、または刺激の強さと活動電位の発生頻度と混同しやすいです。
- 3. 正解。髄鞘は電気的な絶縁体として働き、活動電位がランヴィエ絞輪間を跳躍するように伝導する「跳躍伝導」を可能にします。これにより、無髄神経線維に比べて活動電位の伝導速度が劇的に速くなります。
- 4. 髄鞘は神経線維内の電位変化が軸索外に漏れるのを防ぐことで、効率的な跳躍伝導を可能にしますが、その主たる機能は伝導速度の向上です。また、神経線維が並行して走る場合に、隣接する神経線維への誤った伝達(クロストーク)を防ぐ役割も持っていますが、これは主に電気的絶縁体としての特性による二次的な効果であり、髄鞘の最も主要かつ直接的な働きは伝導速度の向上です。正しくは:髄鞘は軸索からの電流漏洩を防ぎ、跳躍伝導を可能にすることで伝導速度を上げます。隣接する線維へのクロストークを防ぐ効果も期待できますが、それが最も直接的な機能ではありません。選びやすい理由:髄鞘の「絶縁体」としての性質から、電位の「漏れ」を防ぐという考えにつながりやすく、魅力的な選択肢に見えます。混同注意:絶縁体の機能と、その結果としての伝導速度向上、および隣接する神経への影響防止の直接的な因果関係を混同しやすいです。
国試ポイント
髄鞘の主な機能である「跳躍伝導」と、それがもたらす「伝導速度の向上」は、神経生理学の基礎として頻繁に問われます。髄鞘が活動電位の『効率』を高めるという点で、具体的にどの側面(発生頻度、ピーク、伝導速度、漏洩防止など)を向上させるのかを正確に理解しているかが重要です。特に、伝導速度以外の要素と混同させやすい引っ掛けの構造がよく見られます。
混同注意
髄鞘が活動電位の「強さ」(ピーク)や「頻度」に影響を与えるという誤解。また、髄鞘の「絶縁」機能が、単に隣接する神経線維への「漏洩防止」のみに集約されるという誤解も多いです。絶縁は伝導速度向上と密接に関わっていることを理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題された場合、髄鞘の有無による伝導速度以外の違い(例:エネルギー効率の向上、軸索径との関係、脱髄疾患の症状)についても問われる可能性があります。また、跳躍伝導の具体的なメカニズム(ランヴィエ絞輪におけるイオンチャネルの分布や役割など)を詳細に理解しているかどうかも確認しておきましょう。
関連知識
跳躍伝導のメカニズム(ランヴィエ絞輪、Na+チャネルの集中)、神経線維の分類(A線維、B線維、C線維と髄鞘の有無、伝導速度の関係)、脱髄疾患(多発性硬化症など)の病態生理、活動電位の発生メカニズム(イオンチャネル、閾値、全か無かの法則)について理解を深めると良いでしょう。