代謝性アシドーシスによって起こる呼吸はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
代謝性アシドーシスでは、血液中の水素イオン濃度が増加しpHが低下します。生体はこの酸性状態を代償しようと、過剰な酸を体外に排出しようとします。呼吸器系による代償反応として、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)を行うことで、二酸化炭素(CO2は体内で炭酸となり酸性物質として作用)の排出を促進し、血液中のCO2分圧を低下させ、呼吸性アルカローシスを引き起こしてアシドーシスを打ち消そうとします。
選択肢ごとの解説
- 1. 横隔膜や胸壁の動きが同期せず、吸気時に腹部が陥没し胸郭が広がる(またはその逆)呼吸パターンで、代謝性アシドーシスでは通常見られません。正しくは:奇異呼吸は、重度の呼吸筋疲労、横隔膜麻痺、フレイルチェストなどの場合に観察されます。選びやすい理由:呼吸困難感と関連があるため、選択肢として気になるかもしれません。混同注意:正常な呼吸運動との区別がつきにくい。
- 2. 呼気時に口をすぼめてゆっくり息を吐き出す呼吸法で、主に慢性閉塞性肺疾患(COPD)などで呼気延長を促し、気道虚脱を防ぐために患者自身が行うものです。代謝性アシドーシスとは直接関係ありません。正しくは:口すぼめ呼吸は、閉塞性肺疾患の患者が呼吸困難時に自ら行うことで、気道内圧を保ち呼気を効率化する目的があります。選びやすい理由:呼吸困難感の軽減策として知られているため。混同注意:特定の疾患に対する「対処行動」としての呼吸法と、疾患自体が引き起こす「生理的な呼吸パターン」との違い。
- 3. 不規則な無呼吸期間を挟んで、数回の浅く速い呼吸が突然出現するパターンです。脳幹部の病変(特に延髄や橋の損傷)や髄膜炎、頭蓋内圧亢進などによって起こります。代謝性アシドーシスとは関連しません。正しくは:ビオー呼吸は、中枢神経系の重篤な障害を示唆する呼吸パターンです。選びやすい理由:クスマウル呼吸と同様に、脳への影響が示唆されるため混同されやすいかもしれません。混同注意:チェーン・ストークス呼吸やクスマウル呼吸といった、他の異常呼吸パターン。
- 4. 正解。代謝性アシドーシス(特に糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症性アシドーシス)の際に、体内の過剰な酸を二酸化炭素として排出し、血液pHを正常に戻そうとする代償反応として、深く速い呼吸が出現します。これは呼吸性アルカローシスを起こすことでアシドーシスを代償する生体反応です。
- 5. 呼吸の深さと間隔が周期的に変動するパターンで、徐々に深くなり、その後徐々に浅くなって無呼吸に移行し、再び同じサイクルを繰り返します。主に心不全、脳循環不全、脳障害(特に大脳半球や間脳の損傷)で見られます。代謝性アシドーシスとは関連しません。正しくは:チェーン・ストークス呼吸は、脳の呼吸中枢の感受性低下や循環時間の延長によって生じます。選びやすい理由:他の重篤な病態と関連する異常呼吸パターンであるため、選択肢として魅力的に見えるかもしれません。混同注意:ビオー呼吸や他の異常呼吸パターンとの区別。
国試ポイント
様々な病態と関連する異常呼吸パターンについて、その特徴と原因疾患を正確に理解しているかを問う問題です。特に、代謝性アシドーシスにおける呼吸性代償機構としてのクスマウル呼吸の知識は重要です。
混同注意
ビオー呼吸、チェーン・ストークス呼吸といった他の異常呼吸パターンとの混同。これらはそれぞれ異なる病態(主に中枢神経系障害や心不全)と関連するため、呼吸パターンの特徴だけでなく、その原因となる疾患群をセットで覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
異常呼吸パターンを問う問題が出題された際は、まずその呼吸パターンの特徴を把握し、次にそれがどのような病態や疾患と関連するのかを判断します。特に、代償性反応としての呼吸パターン(例:アシドーシスに対するクスマウル呼吸)と、原疾患による呼吸中枢の障害や呼吸器系の異常によるもの(例:脳疾患によるビオー呼吸やチェーン・ストークス呼吸)を区別することが重要です。
関連知識
代謝性アシドーシス: 血液pHの低下、HCO3-の減少。原因:糖尿病性ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、腎不全、下痢など。呼吸性アシドーシス: 血液pHの低下、PaCO2の増加。原因:肺胞低換気(COPD、呼吸筋麻痺など)。代謝性アルカローシス: 血液pHの上昇、HCO3-の増加。原因:嘔吐、利尿薬、原発性アルドステロン症など。呼吸性アルカローシス: 血液pHの上昇、PaCO2の減少。原因:過換気症候群、脳炎、低酸素血症(初期)など。各呼吸パターンの特徴と原因:クスマウル呼吸: 深く速い呼吸。代謝性アシドーシス(特に糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症)。チェーン・ストークス呼吸: 周期的な増減、無呼吸。心不全、脳循環不全、脳障害。ビオー呼吸: 不規則な無呼吸と浅く速い呼吸。脳幹部病変、髄膜炎。奇異呼吸: 胸腹部の逆運動。重度呼吸筋疲労、横隔膜麻痺、フレイルチェスト。口すぼめ呼吸: 呼気時口すぼめる。COPD患者の自己管理。