Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影〈CAG〉を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは高額な医療費と学業への不安から検査を拒否しており、生命の危機が差し迫っている状況です。国民健康保険の適用により医療費負担が軽減されることを説明することは、Aさんの主要な不安を解消し、必要な治療を受け入れるための重要なステップであり、緊急性の高い状況において優先すべき説明です。
選択肢ごとの解説
- 1. 検査の手順説明は重要ですが、Aさんが検査を拒否している根本的な理由が高額な医療費と学業への不安であるため、これらを解消することが優先されます。手順説明だけでは拒否の解消には直結しません。正しくは:Aさんの経済的・学業的懸念を解消した後、検査の必要性や手順を説明する。選びやすい理由:看護師の役割として検査説明は重要であり、情報提供が不足していると考えるため。混同注意:患者への情報提供全般の重要性。
- 2. 学校を退学になる心配がないと伝えることは、学業への不安を軽減しますが、これはAさんの不安の一部に過ぎません。最も切迫している医療費の懸念を解消し、生命の危険がある検査を受けるための説得が優先されます。正しくは:医療費の不安解消と併せて、学校との連携や休学に関するサポート体制について説明する。選びやすい理由:Aさんが学業への不安を表明しているため、直接その不安に対応しようと考えるため。混同注意:患者の心理的サポート全般。
- 3. 宗教に応じた食事の配慮は、入院生活において重要ですが、Aさんは現状で入院を拒否しており、生命に危険が及ぶ可能性がある緊急性の高い状況です。優先すべきは、検査拒否の根本原因である経済的・学業的不安の解消です。正しくは:入院が決定し、Aさんの宗教的背景が確認された後に、食事の配慮について説明する。選びやすい理由:外国人患者に対する配慮として適切だと考えるため。混同注意:文化的多様性への配慮の重要性。
- 4. 正解。Aさんの検査拒否の主な理由は「高額な医療費は払えない」という経済的な不安です。国民健康保険が適用されることを説明することで、この主要な不安を解消し、必要な冠動脈造影(CAG)の受容につながる可能性が高く、生命の危機を回避するために最も優先すべき情報です。選びやすい理由:患者の最も切迫した懸念に直接対応するため。混同注意:緊急時の患者の心理的サポートと情報提供の優先順位。
国試ポイント
医療費助成制度の理解と、患者の心理社会的側面への配慮を組み合わせた優先順位付け。
混同注意
医療処置の手順説明や精神的サポートと混同しやすいが、緊急度と患者の不安要素の根本原因を特定することが重要。
次に同じ論点が出たら
患者が治療を拒否する主要な理由が経済的または社会的な不安である場合、その不安を直接解消する情報提供を優先的に行うべきである。
関連知識
高額療養費制度、限度額適用認定証、医療ソーシャルワーカーの役割、外国人患者への医療通訳や情報提供の重要性。