Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 入院後2日、冠動脈造影〈CAG〉が実施された。冠動脈に有意な狭窄はなく、Aさんは急性心外膜炎と診断された。胸痛に対して消炎鎮痛薬が5日分処方された。処方された2日後、Aさんから「薬がなくなったので追加で処方して欲しい」と病棟看護師に依頼があった。看護師の対応で優先されるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
看護師はまず患者の現在の状態を評価することが最優先です。痛みの程度を客観的に評価することで、薬剤の追加が必要か、あるいは他の介入が必要かを判断する基礎となります。特に急性心外膜炎の痛みは変動しやすいため、適切な評価が不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者の訴えに対して、まずは現状の身体的・精神的状態を正確にアセスメントすることが看護師の基本的な役割であり、その後の適切な対応を決定するための基盤となるため、最も優先されます。選びやすい理由:最も基本的かつ重要な対応であるため。混同注意:医師への報告や指示の確認が優先されると誤解すること。
- 2. 現在の痛みの程度を評価せずに、すぐに用量増量を相談するのは時期尚早です。まずは看護師自身で痛みの評価を行う必要があります。正しくは:Aさんの現在の痛みの程度を評価し、必要に応じて担当医に鎮痛薬の追加や用量調整について相談する。選びやすい理由:患者の訴えに直接的に対応しようとすること。混同注意:患者の要求をそのまま医師に伝えることが看護師の役割と誤解すること。
- 3. Aさんが以前から服用していた鎮痛薬の量は、今回の処方に対する追加依頼の判断に直接関連しません。まずは現在の処方された薬がなぜ足りなくなったのか、痛みがどの程度なのかを評価することが重要です。正しくは:Aさんの現在の痛みの程度を評価する。その上で、もし鎮痛効果が不十分な理由として過去の服用量が関係している可能性があれば、情報として確認する。選びやすい理由:患者の過去の情報を確認することが重要だと考えるため。混同注意:薬歴聴取と現在の症状アセスメントの優先順位を混同すること。
- 4. Aさんが指示された服用方法を守れていない可能性もありますが、まずは患者の訴えを受け止め、現在の状況を評価することが優先されます。一方的に患者を非難するような対応は、患者-看護師関係を損なう可能性があります。正しくは:Aさんの現在の痛みの程度を評価し、その上で服用状況について優しく確認する。選びやすい理由:処方通りに服用しない患者を指導する必要があると感じるため。混同注意:患者指導とアセスメントの優先順位を混同すること。また、患者の訴えの背景にある問題を見過ごす可能性。
国試ポイント
患者の訴えに対して、まず主観的・客観的情報を収集しアセスメントすることの重要性。
混同注意
患者の訴えを鵜呑みにしてすぐに医師に報告することと、看護師自身がまずはアセスメントを行うことの区別。看護師の役割は単なる伝達者ではない。
次に同じ論点が出たら
患者からの薬の追加依頼や症状の変化の訴えがあった場合、まず現在の症状の詳細なアセスメント(いつから、どんな、どのくらい、悪化要因、緩和要因など)を優先的に行う。
関連知識
痛みの評価スケール(NRS, VASなど)、急性心外膜炎の病態生理と痛みへの影響、非ステロイド性消炎鎮痛薬の適切な使用方法と副作用。