Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
救急外来における看護師の初期対応の最優先事項は、患者の緊急度を判断し、必要な情報(症状など)を正確に収集することです。外国籍の患者であっても、可能な範囲で患者自身から情報を引き出す努力は必須であり、そのためには患者の理解度に応じたコミュニケーションが基本となります。家族や通訳の到着を待つ間に、病状が悪化するリスクがあるため、自己判断で待機させることは適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 在留資格の確認は、緊急時の看護師の初期対応としては優先度が低く、直接的な医療行為とは関係ありません。これは法務省の管轄事項であり、診療の妨げになるべきではありません。正しくは:まずは医療的なニーズを最優先に評価し、必要な処置を行う。選びやすい理由:外国籍の患者という情報から、事務的な手続きを連想しやすいため。混同注意:緊急性の低い事務手続きと、緊急度の高い医療対応。
- 2. 大使館への連絡は、患者本人からの強い希望がある場合や、緊急連絡先が不明で重大な事態に発展した場合などに検討されますが、医師の診察前の初期対応としては適切ではありません。まずは患者の容態把握と医療的介入が優先されます。正しくは:まず患者の健康状態を把握し、必要な医療的処置を進める。必要であれば、患者の意思を確認した上で連絡を検討する。選びやすい理由:外国籍の患者への支援として連想されやすいが、緊急度は低い。混同注意:緊急度の低い社会的な支援と、緊急度の高い医療的な介入。
- 3. 正解。救急外来において最も重要なのは、患者の現在の健康状態と症状を迅速かつ正確に把握することです。外国籍の患者であっても、コミュニケーションが取れる範囲で、その患者の理解度に合わせて情報収集を行うことは、適切な初期アセスメントとトリアージ、およびその後の治療方針決定に不可欠です。これにより、患者の苦痛を軽減し、安全を確保できます。正しくは:選択肢の通り、患者の理解度に応じたコミュニケーションで情報収集を行う。選びやすい理由:これは当然の医療行為であり、迷う余地がないため。
- 4. 救急外来では、患者の緊急度に応じて迅速な対応が求められます。患者を待合室で待たせることは、症状の悪化や生命に関わる事態を招く可能性があります。特に外国人患者の場合、文化や言葉の壁から自身の状態を伝えにくいこともあり、放置は危険です。正しくは:患者の状態をアセスメントし、緊急度に応じて診察室へ案内したり、必要な処置を開始したりする。選びやすい理由:家族が到着するまで情報収集が難しいと判断しやすいため。混同注意:緊急時の迅速な対応と、家族の到着を待つこと。
国試ポイント
救急外来における外国人患者への初期対応の優先順位が問われています。医療職として最も優先すべきは、患者の健康状態の把握と安全確保のための医療的介入であるという基本原則を理解しているかが問われます。外国籍患者への対応では、コミュニケーションの工夫が重要であることもポイントです。
混同注意
外国籍患者への対応として、事務的手続きや社会的な支援(大使館への連絡など)が連想されやすいですが、救急外来という状況では、これらは医療的介入よりも優先度が低いことを区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、外国人患者という情報に惑わされず、『救急』という状況と『看護師の初期対応』という役割から、生命維持・安全確保・症状把握が最優先されるという原則を思い出すことが重要です。次に問われるのは、通訳の活用や医療通訳の重要性、異文化理解に基づいたケアなどでしょう。
関連知識
トリアージの原則、救急外来における看護師の役割、異文化コミュニケーション、緊急時における情報収集の重要性。