慢性膵炎患者の食事療法で制限が必要なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性膵炎の患者さんにとって、アルコールは膵炎の原因や増悪因子として最も重要なものの一つです。アルコールの摂取は膵臓の炎症を悪化させ、病状の進行や急性増悪のリスクを高めます。そのため、慢性膵炎の食事療法において、アルコールの厳格な制限(完全禁酒)は治療の根幹をなす要素となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性膵炎において、蛋白質の摂取制限は一般的ではありません。むしろ、消化吸収不良による低栄養状態を防ぐため、十分な蛋白質摂取が推奨されることが多いです。ただし、脂肪の制限に伴い、相対的に蛋白質の割合が増えることはあります。正しくは:低栄養予防のため、消化吸収の状態に応じて適切な量の蛋白質を摂取するよう指導します。選びやすい理由:腎機能障害を合併している場合など、他の疾患では蛋白質制限が必要なケースもあるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:腎臓病食や一部の肝臓病食における蛋白質制限と混同する可能性があります。
- 2. カリウムは体に必要な電解質であり、慢性膵炎において摂取制限が推奨されることは通常ありません。カリウム制限は腎機能障害や特定の心疾患の治療で考慮されます。正しくは:カリウムの摂取制限は原則不要です。必要に応じて野菜や果物から適量摂取します。選びやすい理由:電解質のバランスが崩れる病態は多いため、一般的な栄養管理の問題として制限が必要と誤解しやすいかもしれません。混同注意:腎不全や利尿薬使用時の電解質管理と混同する可能性があります。
- 3. 食物繊維は便通の改善や血糖値のコントロールに役立ち、一般的な食事療法において制限されることはほとんどありません。慢性膵炎の場合も、急性増悪時や消化器症状が強い時期を除き、制限の必要はありません。むしろ、適度な摂取が推奨されます。正しくは:急性増悪時や腹部症状が強い時期を除き、通常の慢性膵炎では食物繊維の制限は不要であり、むしろ適度な摂取を推奨します。選びやすい理由:急性膵炎や、炎症性腸疾患の急性期などで一時的に低残渣食が推奨されることがあるため、慢性膵炎でも繊維を制限すべきだと誤解しやすいかもしれません。混同注意:急性期における低残渣食や、消化管の手術後などにおける一時的な食物繊維制限と混同する可能性があります。
- 4. 正解。アルコールは慢性膵炎の主要な原因の一つであり、膵臓に直接的な炎症や損傷を引き起こします。膵炎の再燃や病状の悪化を招くため、慢性膵炎患者には厳格なアルコール禁酒が必須です。選びやすい理由:アルコールは生活習慣の一部となっている場合が多く、完全に制限することの重要性を見過ごしがちですが、膵炎の管理において最も重要な制限項目です。混同注意:他の疾患、例えば高血圧や糖尿病などで勧められる『節度ある飲酒』と混同し、少量なら許されると誤解することがあります。慢性膵炎では基本的に完全禁酒です。
国試ポイント
慢性膵炎の主要な増悪因子が何か、そして食事療法における最も重要な制限項目を理解しているかを問う問題です。特にアルコールの影響は頻出テーマです。
混同注意
慢性膵炎における食事制限は、しばしば他の疾患(腎臓病、肝臓病、糖尿病など)の食事療法と混同されがちです。それぞれの疾患特有の制限項目を正確に覚えることが重要です。また、急性膵炎と慢性膵炎では食事内容の制限の度合いや目的が異なる点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、まず『その疾患の原因や増悪因子は何か』を考え、特に食事が病態に与える影響に注目してください。基本的な病態生理学と、それに基づく食事療法の原則を結びつけることが重要です。
関連知識
慢性膵炎の食事療法では、アルコール制限のほか、高脂肪食の制限(低脂肪食)、消化酵素剤の併用、十分な水分摂取などが重要になります。また、糖尿病合併時は血糖コントロールも考慮されます。