Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。 Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
骨折の固定において、三角巾は上肢全体の重さを支え、骨折部位の安静を保つことで、疼痛の軽減と治癒促進に寄与します。特に前腕から肘関節にかけての固定に適しており、選択肢3は前腕骨折や上腕骨遠位部骨折など、様々な上肢骨折の保存療法に広く用いられる基本の固定法です。
選択肢ごとの解説
- 1. この固定法は主に手関節や前腕の一部を固定するもので、上腕部や肘関節の骨折には不十分です。この図は主に手関節部のサポーターや簡易的な固定を示しています。正しくは:この固定具は手関節から前腕遠位部にかけての固定に用いられます。問題文では骨折部位が特定されていないため、広範囲を固定できる選択肢3がより適切です。選びやすい理由:手関節や前腕の骨折に対する固定法の一つとして認識されるため、正しい選択肢だと誤解しやすいです。しかし、問題文で示されている「Aさんの骨折」が具体的にどの部位か不明であるため、より広範な対応が可能な選択肢3が適切です。混同注意:手関節の捻挫や軽度の骨折、橈骨遠位端骨折などにおける部分的な固定具と混同しやすいです。
- 2. この固定法は、上腕骨骨幹部骨折などで、牽引や整復位の維持のために使用されることがありますが、一般的な保存療法における初期の固定法としてはあまり適切ではありません。重力による牽引効果を期待するデローム牽引などの可能性がありますが、図のような姿勢での固定は不安定で、一般的な外固定とは異なります。正しくは:選択肢2のような体位での固定は、特殊な状況(例えば持続的牽引)を除き、骨折部の安静を保つには不向きです。上肢骨折の安定した固定には、体幹に沿わせるか、吊り上げて重力を軽減する姿勢が一般的です。選びやすい理由:上肢の固定方法の一つとして、このような牽引装具を見たことがあると誤解し、選択してしまう可能性があります。しかし、これは一般的な保存療法における初期の固定として適切ではありません。混同注意:上腕骨骨幹部骨折などにおけるデローム牽引などの特殊な牽引療法や、一時的な搬送時の固定法と混同しやすいです。
- 3. 正解。三角巾を用いたアームスリングは、上肢の骨折、特に前腕から肘関節、上腕骨遠位部骨折など広範囲の骨折に対して、上肢を吊り上げて安静を保ち、骨折部の負担を軽減する最も一般的な保存療法の固定法の一つです。選びやすい理由:基本的な固定法であり、視覚的に最も分かりやすいアームスリングの形であるため、直感的に正しいと判断しやすいです。混同注意:特になし。上肢骨折の最も基本的な固定法であるため、他の選択肢と比較して適切さを判断しやすいです。
- 4. この固定法は主に鎖骨骨折の固定(8の字包帯やクラビクルバンド)に用いられます。上肢の骨折の固定には適しておらず、上肢の安静を保つ効果が低いです。この固定では上肢の重みを支えることができません。正しくは:この固定具は鎖骨骨折に対して、肩甲骨を後方に引き、整復位を保つために使用されます。上肢の骨折には三角巾やシーネ固定など、上肢全体の安静を保つ固定が必要です。選びやすい理由:肩周りの固定であるため、上肢の骨折と関連があるように見え、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:鎖骨骨折の固定(クラビクルバンド、8の字包帯)と混同しやすいです。
国試ポイント
上肢骨折の固定法とその適用部位を理解しているか。
混同注意
様々な固定具の名称とその具体的な適用部位、そして目的を混同しないように注意が必要です。特に、腕吊り(スリング)と三角巾は似ていますが、固定範囲や安定性が異なります。
次に同じ論点が出たら
上肢骨折の部位と重症度に応じて、適切な固定法(ギプス、シーネ、装具、吊り下げなど)を選択できるか、またはその図がどの固定法を示しているかを判断できるか。
関連知識
骨折の固定の原則として、骨折部とその上下の関節を固定することが挙げられます。また、固定中の循環障害や神経障害の有無の観察、合併症予防のための指導も重要です。