加齢による「もの忘れ」はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
加齢に伴う生理的な物忘れでは、記憶そのものが完全に失われるのではなく、情報の引き出しに時間がかかったり、きっかけがあれば思い出せるという特徴があります。選択肢3の「知人の顔を見て名前を思い出すまでに時間を要した」は、この「情報の検索の遅延」に該当し、生理的な物忘れの典型例です。一方で、選択肢1、2、4は、体験そのものの記憶の欠落や見当識障害を示しており、認知症の症状と判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 昨日の夕食を食べたこと自体を覚えていないのは、体験全体を忘れているため、加齢による生理的な物忘れの範囲を超え、認知症が疑われる兆候です。正しくは:友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった。選びやすい理由:物忘れの程度を判断する際に、具体的なエピソードの欠落はより重度と捉えがちであるため。混同注意:単なる物忘れと、体験そのものの欠落を混同しやすい。
- 2. 家族からの電話という出来事そのものを忘れてしまうのは、出来事全体に対する記憶の欠落であり、加齢による生理的な物忘れよりも深刻で、認知症の可能性が示唆されます。正しくは:友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった。選びやすい理由:「忘れてしまった」という表現が日常的な物忘れを連想させるため。混同注意:情報の定着の障害と、情報の検索の障害を混同しやすい。
- 3. 正解。加齢による生理的な物忘れは、記憶そのものが失われるのではなく、情報を引き出すのに時間がかかったり、ヒントがあれば思い出せるという特徴があります。友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかるのは、記憶の検索能力の低下であり、生理的な物忘れの典型的な例です。
- 4. 買い物中に現在地が分からなくなるのは、見当識障害に該当し、認知症の中核症状の一つです。加齢による生理的な物忘れの範疇を超えています。正しくは:友人の顔を見て名前を思い出すのに時間がかかった。選びやすい理由:「物忘れ」という大まかな言葉の感覚で選んでしまう可能性があるため。混同注意:記憶障害と、見当識障害を混同しやすい。
国試ポイント
加齢による生理的な物忘れと、認知症による記憶障害の明確な区別を理解しているかが問われる。特に、生理的物忘れは『検索の障害』、認知症は『記銘・保持の障害』という違いを把握することが重要。
混同注意
生理的物忘れと認知症による記憶障害は混同されやすいが、その質的な違い(検索の困難 vs 記銘・体験の消失)を理解することが重要。
次に同じ論点が出たら
同様の状況で、例えば「財布をどこに置いたか思い出せないが、探せば見つかる」といったケースも生理的物忘れに該当するかどうか判断できる。
関連知識
認知症の症状(中核症状と周辺症状)、認知症の種類(アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症など)とそれぞれの特徴、認知症のスクリーニング検査(長谷川式簡易知能評価スケール、MMSEなど)。