Aさん(70歳、男性)は1人で暮らしており、日常生活動作〈ADL〉は自立している。高血圧症で内服治療をしている。受診時にAさんから「最近、昼間に眠くなって、夜よく眠れない。どうしたらよいか」と看護師に相談があった。Aさんの1日の過ごし方を図に示す。Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Aさんの「昼間に眠くなって、夜よく眠れない」という訴えは、睡眠リズムの乱れを示唆しています。図に示された1日の過ごし方を見ると、午前中は活動が少なく、午後には午睡が含まれています。睡眠リズムを整えるためには、日中の活動量を適切に増やすこと、特に午前中に活動し、日光を浴びることが有効です。午前中の散歩は、適度な運動と日光浴を兼ね備え、体内時計の調整に寄与し、夜間の良質な睡眠につながります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。適度な運動は睡眠の質を向上させる効果があります。特に午前中の日光を浴びながらの散歩は、生体リズムを整え、夜間の入眠を促進するのに有効です。正しくは:この選択肢は適切であり、修正の必要はありません。選びやすい理由:すぐに効果が実感できるものではないため、他の選択肢と迷うかもしれません。混同注意:運動が疲労につながり、かえって睡眠を妨げるのではないかと誤解することがあります。しかし、適度な運動はストレス軽減や深部体温の調節に役立ちます。
- 2. 入浴は一般的に就寝前に行うことで、深部体温が一旦上昇し、その後の低下がスムーズな入眠につながります。昼食後の入浴は、夜間の睡眠に直接的な効果は期待しにくいです。また、入浴の時間帯が固定されることで活動の幅を狭める可能性もあります。正しくは:入浴は就寝の1~2時間前に行うことを勧める。選びやすい理由:入浴はリラックス効果があるため、睡眠に良いと考えるかもしれません。混同注意:入浴が睡眠に良いという一般的な認識から、時間帯を考慮せずに選びがちです。しかし、入浴のタイミングが重要であることを理解する必要があります。
- 3. 日中の眠気が問題であり、夜間不眠がある状況で午睡の時間を延ばすことは、夜間の睡眠をさらに妨げる可能性があります。午睡は短時間(20~30分程度)であれば効果的ですが、長時間になると夜間の睡眠リズムを乱します。正しくは:午睡は必要であれば短時間(20~30分程度)にとどめるように勧める。選びやすい理由:日中の眠気を解消するために、午睡を長くすることが解決策だと考えやすいです。混同注意:昼間に眠いから長く寝れば良いという単純な発想に陥りがちです。しかし、夜間不眠が主訴の場合、日中の長時間の午睡は悪循環を生みます。
- 4. 高齢者にとって水分摂取は脱水予防のために重要であり、特に夕食後の水分制限は脱水リスクを高める可能性があります。夜間頻尿を気にして水分を控える場合もありますが、不必要な制限は健康リスクを伴います。必要に応じて、寝る前の大量摂取は避けるなどの指導は考えられますが、全く摂らないのは適切ではありません。正しくは:夕食後の水分摂取は、寝る直前の大量摂取を避ける程度にとどめ、適切な水分摂取は続けるように勧める。選びやすい理由:夜間頻尿による睡眠中断を防ぐために、水分摂取を控えることが有効だと誤解しやすいです。混同注意:夜中にトイレに起きることを避けるために水分を控えるという考えは一般的ですが、高齢者の脱水リスクを考慮すると、全面的な水分制限は危険です。個別の状況に応じてアドバイスが必要です。
国試ポイント
高齢者の睡眠障害に対する生活指導について問われています。特に、活動量と睡眠リズムの関係、および不適切な午睡の影響を理解しているかが重要です。看護師として、対象者の生活習慣をアセスメントし、具体的な改善策を提案する能力が求められます。
混同注意
日中の眠気に対して午睡を延ばすことや、夜間頻尿対策として水分制限を考える選択肢は、一見すると有効に思えるため、誤って選んでしまう可能性があります。しかし、高齢者の睡眠と健康全体を考慮した適切な介入を判断する知識が必要です。
次に同じ論点が出たら
Aさんの睡眠状況が改善されない場合、睡眠日誌の記録を依頼し、睡眠専門医への受診を検討する。また、高血圧治療薬が睡眠に影響を与えていないかを確認することも重要です。
関連知識
高齢者の睡眠の特徴(浅くなる、中途覚醒が増えるなど)、睡眠衛生指導の原則(規則正しい生活リズム、日中の適度な運動、寝室環境の整備、カフェインやアルコールの制限、長時間の午睡の回避など)、脱水予防の重要性。