生後1か月の男児。Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病と診断され、生後6日、回腸部にストーマ造設術を行った。術後の経過は良好であり、退院に向けてストーマケアに関する指導を行うことになった。母親に対する指導として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ストーマ装具は、排泄物を効率的に処理するために、便を貯める袋部分が体の外側に向くように装着することが基本です。これにより、排泄物の観察や破棄が容易になり、清潔保持にもつながります。
選択肢ごとの解説
- 1. 面板を剥がした皮膚は、タオルで強く拭くのではなく、優しく洗浄し乾燥させるべきです。強く拭くと皮膚に刺激を与え、スキントラブルの原因となる可能性があります。正しくは:「面板を剥がした部位は、優しく洗浄し、十分に乾燥させてください」選びやすい理由:清潔に保つという意図は理解できるが、方法が適切ではない点で誤り。混同注意:タオルの使用自体が問題ではなく、拭き方やその後のケアが不十分であると誤解する可能性がある。
- 2. 授乳直後は児が満腹になり、腹圧がかかって排便が促進される可能性が高く、装具交換中に便が排出されやすくなります。交換は授乳前や授乳後ある程度時間が経ってから、比較的排便が少ない時間帯を選ぶのが適切です。正しくは:「ストーマ装具の交換は、授乳前など比較的排便が少ない時間帯を選んで行ってください」選びやすい理由:授乳直後で児が落ち着いている時間帯と考えるかもしれないが、排便のタイミングを考慮する必要がある。混同注意:赤ちゃんが落ち着いている時がケアに適していると短絡的に考えてしまう可能性がある。排便リズムへの配慮が欠けている。
- 3. 回腸ストーマでは、消化液が多く含まれる水様性の便が通常です。そのため、水様便が出たからといって直ちに受診する必要はありません。ただし、極端な水様便が持続し、脱水症状などが見られる場合は受診が必要です。正しくは:「ストーマから水っぽい便が出るのは通常のことですが、便の量が著しく増えたり、脱水症状が見られる場合は受診を検討してください」選びやすい理由:水様便が続くと脱水のリスクがあるため、受診の必要性を感じやすいが、回腸ストーマの特性を理解していれば誤りと判断できる。混同注意:一般的な下痢と混同し、水様便=異常と捉えてしまう可能性がある。
- 4. ストーマケアは清潔操作が基本ですが、家庭での装具交換では滅菌手袋まで必要ありません。一般的な手袋(清潔手袋)で十分です。滅菌手袋は通常、手術室や特別な医療処置で用いられます。正しくは:「ストーマ装具を交換する際は、清潔な手袋を装着して行ってください」選びやすい理由:感染予防の観点から滅菌手袋がより安全だと考えるかもしれないが、家庭でのケアとしては過剰である。混同注意:清潔と滅菌の区別が曖昧で、より厳重な方が良いと考えてしまう可能性がある。
- 5. 正解。ストーマ装具を貼る際には、排泄物を貯めるパウチ部分が外側(体から離れる方向)に向くように装着することで、便の処理がしやすくなります。内側に向いていると、便の廃棄や管理が困難になります。正しくは:この選択肢は適切です。選びやすい理由:特になし。ケアの基本であり、正しい選択肢。混同注意:ストーマ装具の構造や装着方法について理解していなければ判断が難しいかもしれない。
国試ポイント
ヒルシュスプルング病児の回腸ストーマケアにおける、基本的な装具の装着方法や日常ケアの注意点について問う問題です。ストーマの特性(回腸ストーマは水様便が一般的)と家庭でのケアにおける清潔操作のレベル(滅菌不要)を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
滅菌と清潔の区別、水様便に対する認識、授乳直後の交換タイミングなど、日頃のケアで迷いやすい点が選択肢に盛り込まれています。
次に同じ論点が出たら
ストーマケアの具体的な手順、合併症とその対応、社会資源の活用についてさらに指導を深める必要がある。
関連知識
ヒルシュスプルング病の病態生理、乳児の消化器系の特徴、ストーマの種類(回腸ストーマ、結腸ストーマ)とその排泄物の性状の違い、ストーマ周囲の皮膚ケアの原則、ストーマ装具の種類と交換方法。