A君(11歳)は両親と3人で暮らしている。5歳で気管支喘息と診断され、現在は抗アレルギー薬とステロイドの吸入薬が処方されている。本日、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親と救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。受診時のバイタルサインは、体温36.9°C、呼吸数32/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92 %(room air)であった。 救急外来で、吸入と点滴静脈内注射が行われA君の症状は軽快した。A君は、医師や看護師による問診には素直に答えているが、心配する母親には「病院に来るほどじゃないんだよ。入院はしないからな」と発言し、反抗的な態度をとっている。このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
思春期の子どもが、特に親に対して反抗的な態度をとる背景には、自身の不安、葛藤、または自立心の表れなど、様々な心理状態が隠されています。看護師がまずすべきは、その行動の表面的な部分だけでなく、A君がなぜそのような発言をしたのか、その根底にある感情や意図を理解しようと努めることです。発言の理由を尋ねることで、A君は自分の気持ちを理解しようとしてくれていると感じ、安心感を得られる可能性があります。これは信頼関係構築の第一歩となり、適切な介入へと繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。A君が母親に対して反抗的な態度をとる背景には、自身の不安や特定の感情が隠されている可能性があります。その意図を直接尋ねることで、A君が抱える感情や考えを理解し、適切な援助につなげることができます。思春期の子どもにとっては、自分の気持ちを理解してもらいたいという欲求が強いことがあります。正しくは:A君の言葉の背景にある感情や考えを理解するために、開かれた質問で探求する。選びやすい理由:すぐに問題行動と決めつけず、まず本人の内面を探ろうとする姿勢は重要です。混同注意:母親への態度を問題視するのではなく、本人の気持ちに焦点を当てる点がポイントです。
- 2. A君は医師や看護師の問診には素直に答えており、自身の病状を理解している可能性があります。このような状況でA君を介さず母親からのみ情報を得ようとすると、A君は信頼されていないと感じ、不信感を抱く可能性があります。また、自立心や自己決定権を尊重する観点からも不適切です。正しくは:A君が話せる状況であれば、まずA君から直接情報を得ることが望ましい。必要に応じて、A君の同意を得てから母親からも補足情報を聴取する。選びやすい理由:母親の方が客観的な情報を持っていることもあるため、情報源として有効だと感じるかもしれませんが、本人の主体性を尊重することが優先されます。混同注意:子どもだからといって、必ずしも親からしか情報を得られないわけではありません。A君が話せる状態であれば、本人の話を聞くことが重要です。
- 3. A君の反抗的な態度には、自身の不安や葛藤が隠されている可能性があります。問題行動だと一方的に注意することは、A君の気持ちを否定し、さらに反発を招く可能性があります。まずはA君の感情を受け止め、背景にある理由を理解しようと努めることが重要です。正しくは:A君の行動の背景にある感情や理由を理解しようと努め、共感的な姿勢で接する。選びやすい理由:反抗的な態度を放置すると関係が悪化すると考え、すぐに指導しようとするかもしれません。混同注意:問題行動に見えても、その裏には本人の未解決の感情がある場合が多く、頭ごなしに叱責することは逆効果です。
- 4. 救急外来という状況で、看護師が一方的に親子関係に問題があると決めつけて母親に伝えることは、母親を傷つけ、親子関係をさらに悪化させる可能性があります。看護師の役割は、個々の患者と家族に寄り添い、サポートを提供することであり、関係性を診断することではありません。また、A君の態度が一時的なストレス反応である可能性も考慮すべきです。正しくは:親子関係について直接的な指摘は避け、まずはA君の状況と家族の様子を注意深く観察する。必要に応じて、適切な専門家への相談を検討する。選びやすい理由:親子関係に目を向けることは重要だと考えがちですが、不用意な言動は避け、慎重な対応が求められます。混同注意:特定の状況での子どもの言動だけで、すぐに親子関係の問題と結論づけるのは早計です。看護師が踏み込むべきではない領域もあります。
国試ポイント
思春期患者への看護師の関わり方、特に言動の背景にある心理の理解と、その尊重に基づいたコミュニケーション能力が問われる。表層的な行動に捉われず、根底にある感情や意図を探求する姿勢が重要。
混同注意
問題行動の直接的な指摘(選択肢3)や、親子関係への言及(選択肢4)は、一見すると対応のように見えますが、思春期の子どもや家族の心理を悪化させるリスクがあるため不適切です。A君が医師や看護師には素直に答えていることから、コミュニケーションが全く取れないわけではない点も考慮に入れる必要があります。
次に同じ論点が出たら
A君の返答から、不安や懸念が明らかになった場合、それらに対して共感的に傾聴し、安心できるような情報提供や感情の表出を促す具体的な介入を検討する。
関連知識
思春期の発達段階と心理的特徴(自我の確立、自立への欲求、親からの精神的離反)、不安やストレスへの反応、患者中心のケア、治療的コミュニケーションの原則。