軽度認知障害で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では2・3のいずれも正解とされています。 軽度認知障害(MCI)は、記憶、言語、思考、判断などの認知機能のうち少なくとも1つに障害が認められる状態ですが、日常生活動作(ADL)は自立しており、認知症の診断基準を満たしません。この段階では物忘れなどの認知機能低下を自覚しており、特に実行機能障害はMCIの主要なサブタイプである非健忘型MCIで見られる重要な特徴の一つです。実行機能は目標設定、計画、順序付け、問題解決などの高次脳機能を指し、その障害は認知症への移行リスクを示唆します。
選択肢ごとの解説
- 1. 軽度認知障害は一過性の障害ではなく、認知症に移行するリスクがある進行性の状態であり、必ずしも回復するわけではありません。正しくは:軽度認知障害は、永続的な認知機能障害の可能性があり、認知症への移行リスクがある状態である。選びやすい理由:物忘れなどが「たまたま」起きている、あるいは疲労による一時的なものと捉えやすいからです。また、薬物療法などで症状の改善が期待できる場合もあるため、完全に進行性であるという認識が薄れることがあります。混同注意:正常老化による一時的な物忘れや、せん妄など急性発症で可逆性のある認知機能障害。
- 2. 正解。軽度認知障害の主要なサブタイプの一つである非健忘型MCIでは、記憶障害ではなく実行機能障害が主な症状として現れることがあります。実行機能障害は計画性や問題解決能力の低下を伴います。選びやすい理由:実行機能障害は認知症の症状というイメージが強いため、MCIではまだ現れないと考える誤解があるかもしれません。混同注意:健忘型MCI(記憶障害が主)と非健忘型MCIの区別。また、実行機能障害が認知症に特有の症状であるという誤解。
- 3. 正解。軽度認知障害の診断基準の一つに、本人または情報提供者(家族など)からの物忘れなどの認知機能低下の訴え(自覚)があることが含まれます。本人が物忘れを自覚しているが、それが日常生活に大きな支障をきたしていない点が特徴です。選びやすい理由:認知症でも物忘れを自覚することがあるため、MCIと認知症の違いが曖昧になることがあります。しかし、MCIはまだ自覚が優位でADLへの影響が少ない段階です。混同注意:認知症における物忘れの自覚。MCIでは自覚があるがADL障害はない、認知症では自覚が薄れるか、自覚があってもADLに支障をきたしているという違い。
- 4. 軽度認知障害の診断基準では、日常生活動作(ADL)はほぼ正常に保たれているとされます。ADLが障害されると、それは認知症の診断基準に近づくことになります。正しくは:軽度認知障害では、日常生活動作ADLは障害されない。選びやすい理由:認知機能低下があればADLも影響を受けると考えやすいからです。また、ごく軽微なADLへの影響はMCIのグレーゾーンとして捉えられがちですが、診断基準上は「ほとんど影響がない」ことが前提です。混同注意:認知症とMCIの最も重要な鑑別点であるADL障害の有無。ADLが障害されるのは認知症です。
国試ポイント
軽度認知障害(MCI)と認知症の違い、MCIの臨床的特徴を正確に理解し、鑑別できることが重要です。
混同注意
軽度認知障害(MCI)は「正常な老化による物忘れ」や「認知症」と混同されやすいですが、MCIは物忘れの自覚があり、客観的検査で認知機能低下が認められるもののADLは保たれている点で正常な老化とは異なり、ADL障害がない点で認知症とは異なります。
次に同じ論点が出たら
次に軽度認知障害に関する問題が出題された場合は、日常生活動作(ADL)の障害の有無と、物忘れなどの認知機能低下の自覚の有無、そして認知症診断基準との比較点に着目して判断します。
関連知識
MCIのタイプとして、記憶障害が主体の健忘型MCIと、記憶以外の認知機能(実行機能、言語機能、視空間認知など)の障害が主体の非健忘型MCIがあります。健忘型MCIはアルツハイマー型認知症への移行リスクが高いとされています。