老化による身体機能の変化と薬物動態への影響との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
高齢者では肝臓への血流量が減少し、それに伴い肝薬物代謝酵素の活性も低下するため、初回通過効果を受ける薬物の代謝が遅延します。これにより、未変化体の薬物が全身循環に到達する量が増加し、薬効が増大する可能性があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 血中アルブミン濃度の低下は、主に酸性薬物の遊離型薬物濃度を増加させ、薬効の増大、あるいは副作用発現リスクの増加につながる可能性があります。薬効の減弱とはなりません。正しくは:血中アルブミン濃度の低下 → 遊離型薬物濃度の増加 → 薬効の増大または副作用発現リスクの増加選びやすい理由:アルブミンが薬物に結合するという知識から、その量が減ると薬効が変化すると考えやすいですが、遊離型薬物が増えることで薬効が増大する点を見落としやすいです。混同注意:薬物とアルブミンの結合率が高い薬物と低い薬物、あるいは酸性薬物と塩基性薬物での影響の違い。
- 2. 腎臓への血流量の減少(糸球体濾過量の減少)は、主に腎排泄型薬物の排泄遅延を引き起こし、薬物の半減期延長、血中濃度上昇により薬効の増大につながる可能性があります。薬効の減弱とはなりません。正しくは:腎臓への血流量の減少 → 腎排泄遅延 → 薬効の増大選びやすい理由:血流量の減少というマイナスの変化から、薬効も減弱すると短絡的に考えてしまいやすいです。排泄経路への影響を正確に理解していないと間違えやすいです。混同注意:腎機能低下が薬物排泄に与える影響と、肝機能低下が薬物代謝に与える影響。
- 3. 正解。高齢者では肝臓への血流量が減少し、薬物代謝酵素活性も低下するため、初回通過効果を受ける薬物の代謝が遅延し、未変化体の薬物が全身循環に到達する量が増加することで薬効が増大する可能性があります。選びやすい理由:正答肢です。混同注意:肝血流量の減少と肝薬物代謝酵素活性の低下が薬物代謝に与える複合的な影響。
- 4. 消化器機能の低下(胃酸分泌低下、胃内容排出速度の遅延、消化管運動の低下など)は、一般的に薬物の吸収速度の低下や吸収率の変化をもたらしますが、全体として薬物の吸収を遅らせ、薬効の発現を遅延させるか、場合によっては吸収率の低下により薬効が減弱する可能性があります。薬効の増大とはなりません。正しくは:消化器機能の低下 → 吸収速度の遅延・吸収率の変化 → 薬効の発現遅延または薬効の減弱選びやすい理由:消化器機能の低下が何らかの形で薬効に影響するということは推測できても、それが具体的に薬物の吸収段階にどう影響し、最終的な薬効がどうなるかまで正確に理解していないと間違えやすいです。混同注意:吸収部位のpH変化によるイオン化率の変化が吸収に与える影響。
国試ポイント
高齢者の生理的変化が薬物動態に及ぼす影響(吸収・分布・代謝・排泄)と、それによる薬効の変化を理解することが重要です。
混同注意
高齢者の生理的変化は薬物の体内動態(薬物動態学)に影響し、結果として薬物の作用(薬力学)に影響を与えます。これらを混同せず、特に薬効の増減の機序を正確に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
高齢者の薬物動態に関する問題が出た場合、各生理的変化(血流量、アルブミン濃度、消化器機能など)が吸収・分布・代謝・排泄のどのステップに影響し、最終的に薬物の血中濃度や標的部位での濃度がどう変化するかを論理的に判断します。
関連知識
薬物動態の4つのステップ(吸収、分布、代謝、排泄)と、それぞれのステップにおける高齢者の生理的変化(例:胃酸分泌低下、血中アルブミン低下、肝血流量低下、腎機能低下)を関連付けて覚える。