Aさん(80歳、女性)は、要介護2となったため長男家族(長男50歳、長男の妻45歳、18歳と16歳の孫)と同居することとなった。在宅介護はこの家族にとって初めての経験である。Aさんの家族が新たな生活に適応していくための対処方法で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
介護負担が特定の家族に集中することは、介護者の疲弊や家族関係の悪化を招き、介護の継続を困難にする大きな要因となります。在宅介護が初めての家族にとっては特に、あらかじめ家族間で話し合い、役割分担を明確にすることで、負担を公平に分担し、家族全体で支え合う体制を構築することが、新しい生活に適応していくための最も重要かつ適切な方法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 在宅サービスは適切に活用すべきですが、単に「できる限り多く」利用することが必ずしも最も適切な対処方法とは限りません。家族のニーズや介護状況に合わせて、必要なサービスを検討し、適切に組み合わせることが重要です。正しくは:家族のニーズとAさんの状態に合わせて、必要な在宅サービスを検討し、適切に利用する。選びやすい理由:サービス利用は負担軽減につながるため魅力的に感じるが、無闇に多ければ良いというものではない。混同注意:在宅サービスを活用すること自体は正しい方向性であるため、この選択肢が誤りであると判断しにくい可能性がある。
- 2. 介護を受けるAさんのニーズを尊重することは重要ですが、家族全員が新しい生活に適応するためには、介護者のニーズや他の家族の生活も考慮に入れる必要があります。家族のニーズを無視したり後回しにしたりすると、介護負担の増大や家族関係の悪化につながる可能性があります。正しくは:Aさんのニーズと、介護を担う家族のニーズの双方を考慮に入れ、バランスの取れた支援を行う。選びやすい理由:介護は高齢者が主体であるため、そのニーズを最優先すべきだと考えがち。混同注意:倫理的に「高齢者のニーズを優先するべき」という考え方に引っ張られやすい。
- 3. 正解。在宅介護が初めての家族にとって、介護負担の偏りは大きなストレス要因となります。家族間で話し合い、役割分担を明確にすることで、特定の個人に負担が集中するのを防ぎ、家族全体で協力して介護に取り組む体制を築くことは、適応していく上で最も重要かつ適切な対処方法です。これにより、家族全体の心理的・身体的負担を軽減し、継続可能な介護を実現できます。正しくは:この記述の通り、家族間で話し合い、役割を分担することが適切です。選びやすい理由:特になし。これは最も適切です。混同注意:他の選択肢も部分的には正しいように見えるため、この選択肢が「最も」適切であると見極めるには、包括的な視点が必要。
- 4. 10代の子ども(孫)がいる場合、彼らの発達課題(学業、友人関係、自己形成など)は非常に重要であり、一時的に見送るべきではありません。家族が新しい生活に適応するためには、全ての家族メンバーの生活や発達課題を考慮に入れることが大切です。介護によって子どもたちの生活が阻害されると、家族関係の悪化や子どもの心身の不調につながる可能性があります。正しくは:10代の子供を持つ家族の発達課題にも配慮し、介護との両立を図る。選びやすい理由:介護は大変なので、一時的に他の家族のことは後回しにしても仕方ないと考えがち。混同注意:家族が多忙な状況では、子供のことは「自分で何とかするだろう」と見過ごしがちになる可能性がある。
国試ポイント
在宅介護における家族への支援、特に初めて介護を経験する家族への看護師の役割が問われています。家族全体のQOLを維持しつつ、持続可能な介護体制を構築するための基本的な考え方を理解しているかが重要です。
混同注意
他の選択肢も一見すると介護に役立つように思えるため、どれが「最も」適切かを見極めるのが難しい場合があります。特に、サービス利用や高齢者ニーズ優先は、部分的には正しい側面があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この家族にどのような具体的な役割分担を提案できるか、あるいはどのようなサービス利用を検討すべきかといった、より具体的な介入策を判断する能力。
関連知識
家族機能、家族看護、介護者の負担軽減策、ソーシャルサポート、ケアマネジメントの役割、高齢者虐待予防、青年期の発達課題。