Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8°C、脈拍72/分、血圧118/70 mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 産褥4日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
中毒性紅斑は新生児期によく見られる一過性の良性疾患であり、原因不明ですが、生後数日以内に顔面や体幹に紅斑、丘疹、膿疱が混在して出現します。特別な治療を要さず、通常数日〜2週間程度で自然に消失するため、医療介入は不要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 中毒性紅斑は乾燥させる必要のある湿疹や浸出液のある病変ではないため、不適切です。皮膚を乾燥させることで症状が悪化することはありませんが、適切な対応ではありません。正しくは:特別な処置は不要で、皮膚を清潔に保つことのみを伝える。選びやすい理由:湿疹など他の皮膚疾患に対する一般的なケアとして「乾燥させる」という知識があるため、選びやすい可能性があります。混同注意:アトピー性皮膚炎の湿潤病変や間擦疹など、乾燥が必要な他の皮膚疾患のケア。
- 2. 中毒性紅斑は自然に消失するものであり、ガーゼで洗浄しても症状の改善には寄与しません。また、過度な摩擦は刺激となり、皮膚トラブルを招く可能性もあります。正しくは:特別な処置は不要で、皮膚を清潔に保つことのみを伝える。選びやすい理由:発疹がある部位を清潔に保つことは重要であるという一般的な考えから、積極的に洗浄を促したくなる可能性があります。特に感染性の病変を疑った場合に選択肢として考えやすいです。混同注意:臍炎や乳児脂漏性湿疹など、洗浄や清拭が必要な他の新生児皮膚トラブル。
- 3. 正解。中毒性紅斑は新生児期にしばしば見られる生理的範囲内の現象であり、通常は自然に消失します。保護者の不安を軽減するためにも、心配無用であることを伝えるのが最も適切な対応です。選びやすい理由:これは正しい選択肢なので、選択することに抵抗はありません。
- 4. 中毒性紅斑は感染症ではないため、抗菌薬の適応はありません。医師に相談して抗菌薬の処方を検討することは、不適切な医療介入につながります。正しくは:自然に消失する良性のものであるため、特別な治療は不要であることを伝える。選びやすい理由:「紅斑」「発疹」という言葉から感染症や炎症を連想し、抗菌薬が必要なのではないかと誤解してしまう可能性があります。特に膿疱を伴う場合、感染を疑いやすいためです。混同注意:水疱性膿痂疹や細菌性皮膚感染症など、抗菌薬治療が必要な他の新生児皮膚疾患。
国試ポイント
新生児に特有の皮膚疾患とその対応(特に治療の要不要)を理解する。
混同注意
中毒性紅斑は、水疱性膿痂疹や新生児ざ瘡、発疹性疾患(ウイルス性発疹など)と混同されやすいですが、通常は全身状態が良好であり、掻痒感を伴わない点で区別されます。特に感染症ではないため、抗菌薬の適応はありません。
次に同じ論点が出たら
新生児の皮膚発疹で質問されたら、発疹の性状(紅斑、丘疹、膿疱、水疱など)、全身状態(発熱、哺乳不良など)の有無、発症時期、自然軽快する良性のものであるか否かを確認する。
関連知識
新生児の生理的変化(生理的体重減少、生理的黄疸など)、その他の新生児皮膚疾患(脂漏性湿疹、乳児血管腫、蒙古斑など)とそれぞれの特徴・対応。