Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8°C、脈拍72/分、血圧118/70 mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 産褥2日。Aさんから会陰縫合部の疼痛の増強はないが、離開の不安から排便ができないと訴えがあった。看護師は縫合部の異常がないことを確認した。Aさんは妊娠中の便秘はなかった。看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
産褥2日目のAさんの主訴は「会陰縫合部の離開不安による排便困難」であり、縫合部に異常がないことを確認済みです。この場合、最も優先すべきは患者さんの不安を軽減することです。看護師が安全性を保証し、離開の心配がないことを具体的に説明することで、精神的なブロックを取り除き、自然な排便を促すことが期待されます。これは、医学的な問題を解決する前に、患者の心理的なニーズに応える重要な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 産褥体操は産後の回復に有効ですが、排便不安に対する直接的かつ優先度の高い対応ではありません。この時点での排便不安は身体的な異常よりも精神的な不安が主訴であるため、まず不安の解消を図るべきです。正しくは:排便不安が解消され、身体的活動に移行できる段階で提案する。選びやすい理由:身体活動の促進は良いことだが、この状況の最優先事項ではない。混同注意:産褥期の一般的なケアと混同しやすい。
- 2. 水分摂取は便秘予防に重要ですが、今回のAさんの主訴は「縫合部の離開不安による排便困難」であり、身体的な便秘症状がメインではありません。不安が解消されなければ、水分摂取を増やしても排便には繋がりにくいと考えられます。正しくは:不安の解消後、便秘予防の一般的な指導として行う。選びやすい理由:便秘対策の基本ではあるが、不安が原因のため優先度は低い。混同注意:一般的な便秘対策とこの事例の特異な原因を混同しやすい。
- 3. 緩下薬は便秘症状を改善しますが、Aさんの訴えは「離開の不安」が原因であり、器質的な便秘ではありません。まず不安を取り除くことが優先され、それでも排便がない場合に検討すべき対応です。正しくは:看護師の説明で不安が解消されず、実際に排便がない場合に検討する。選びやすい理由:排便を促す直接的な手段だが、根本原因への対応ではない。混同注意:症状への対症療法と原因への根本的介入を混同しやすい。
- 4. 正解。Aさんの主訴は「離開の不安」であり、看護師はすでに縫合部に異常がないことを確認しています。この情報に基づいて、不安の原因を直接取り除くような明確な説明をすることが、現在のAさんにとって最も優先度の高い対応となります。不安が解消されれば、自然な排便を促すことにつながります。正しくは:正しい選びやすい理由:他の選択肢も排便に関連するため迷うかもしれないが、本選択肢は主訴(不安)に直接対応している点で優先度が高い。混同注意:身体的な介入と精神的な介入の優先順位を判断できない場合、迷う可能性がある。
国試ポイント
本問題は、産褥期の女性が抱きやすい不安(特に会陰縫合部)に対し、看護師が適切なアセスメントに基づき、どのような介入を優先すべきかを問うものです。身体的症状だけでなく、患者の心理的側面を重視した対応能力が求められます。
混同注意
他の選択肢は便秘対策として一般的に正しいですが、このケースでは『不安』が主要な原因であるため、その解消が最優先となります。一般的な便秘ケアと、不安が原因の排便困難への対応を区別できるかがポイントです。
次に同じ論点が出たら
Aさんの不安が説明によって軽減されたかを確認し、必要であれば引き続き心理的サポートや、一般的な排便コントロール指導(水分摂取、食事、運動など)を行う。それでも排便がない場合は、医師へ緩下薬処方を相談することを検討する。
関連知識
産褥期における会陰縫合部の疼痛管理と、患者の不安に対する心理的サポートの重要性。便秘の鑑別診断(器質性か機能性か、心理的要因の有無)。