Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。 入院当日、Aさんに対する看護師の関わりで適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
入院初日の患者に対しては、まず共感的態度で接し、患者の苦痛や不安を理解しようとする姿勢を示すことが大切です。心身を案じる気持ちを伝えることは、患者が自分の状態を受け止められていると感じ、看護師との信頼関係を築く第一歩となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 入院期間の明確な見通しがない段階で短期間と伝えるのは不適切である。患者の期待を高め、実際の状況と異なった場合に不信感を与える可能性がある。正しくは:入院期間については、治療の進捗状況を見て医師から説明があることを伝える。選びやすい理由:患者に安心感を与えたいという意図から選んでしまうかもしれない。混同注意:入院生活への不安を軽減するための声かけと誤解しやすい。
- 2. 入院初日に、複雑な家族関係の修復を直接促すのは、患者にさらなる負担やプレッシャーを与えかねない。まずは患者自身の気持ちを受け止めることが重要である。正しくは:Aさんの母親への思いや、現在の家族関係について傾聴する姿勢を示す。選びやすい理由:家族関係が問題の原因であると推測し、解決を急ぎたいと考えてしまう。混同注意:家族関係が問題の背景にあるため、介入が必要だと考えやすいが、時期尚早である。
- 3. 自傷行為は患者の苦痛の表現であり、単に説得するだけでは根本的な解決にはならない。自傷行為を止めるよう一方的に説得することは、患者の苦痛を理解しようとしない姿勢と受け取られかねず、信頼関係の構築を阻害する。正しくは:自傷行為に至った背景にあるAさんの苦しみや辛さについて、話を傾聴する姿勢を示す。選びやすい理由:自傷行為は危険なため、すぐに止めさせたいと考えてしまう。混同注意:患者の安全確保のためには必要なことだと誤解しやすいが、その前に患者の感情を受け止めることが大切である。
- 4. 正解。入院初日において、患者の心身を案じる気持ちを伝えることは、患者が安心して自分の状況を話せるような信頼関係を築く上で非常に重要である。これは、患者の感情を受け入れ、共感を示す基本的な関わり方である。選びやすい理由:他の選択肢も一見すると良さそうに見えることがあるため、適切な初期対応を見極める必要がある。混同注意:患者の感情に寄り添うことと、問題解決を促すことの優先順位を混同しやすい。
国試ポイント
入院初日の患者への初期対応における共感的態度と信頼関係構築の重要性。特に精神科領域では、患者の感情や行動の背景にある苦痛を理解し、受容する姿勢が求められる。
混同注意
他の選択肢は、患者の状況を「解決」しようとする試みのように見えるが、初期段階で看護師が一方的に解決策を提示したり、特定の行動を強要したりすることは適切ではない。
次に同じ論点が出たら
信頼関係が構築された後、患者の具体的な問題やニーズに応じて、段階的な支援計画を立てる。
関連知識
ラポール形成、傾聴の原則、受容的態度、精神科看護の基本原則。