院内感染の観点から、多剤耐性に注意すべきなのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
緑膿菌は、病院環境において広範囲な抗菌薬耐性を示すことが多く、特に免疫が低下した患者や侵襲的処置を受けた患者にとって重篤な院内感染の原因となります。多剤耐性緑膿菌(MDRP)は、多くの種類の抗菌薬が無効となるため、治療が非常に困難になります。このため、医療施設内での感染管理において、緑膿菌は多剤耐性菌として最も警戒すべき微生物の一つとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. ジフテリア菌は多剤耐性を示すことは稀であり、主な問題は毒素産生による疾患である。正しくは:ジフテリアはワクチンで予防可能であり、抗菌薬も有効である。選びやすい理由:一般的な感染症の原因菌ではあるものの、多剤耐性菌の代表ではないため、不適切である。混同注意:他の一般的な細菌感染症と混同しやすいが、多剤耐性が特に問題となる菌ではない。
- 2. 破傷風菌は土壌中に広く存在する嫌気性菌であり、多剤耐性菌として院内感染の主要な問題となることはない。ワクチンによる予防が重要である。正しくは:破傷風菌による感染症は、菌の増殖部位の処置と抗毒素療法、ワクチン接種歴に応じた処置が中心となる。選びやすい理由:一般的な感染症を引き起こす菌として認識されるかもしれないが、多剤耐性菌の文脈では適切ではない。混同注意:土壌菌であるため、環境由来の感染症と誤解しやすいが、多剤耐性の問題とは異なる。
- 3. 百日咳菌は呼吸器感染症の原因菌であり、多剤耐性を示すことは一般的ではない。マクロライド系抗菌薬が有効である。正しくは:百日咳はワクチンで予防可能であり、抗菌薬による治療が行われる。選びやすい理由:飛沫感染する感染症として注意が必要だが、多剤耐性菌として院内感染で問題となるのは稀である。混同注意:子どもの呼吸器感染症として重要だが、多剤耐性菌の代表ではない。
- 4. コレラ菌は主に水系感染症を引き起こし、多剤耐性が問題となる場合もあるが、日本の医療施設における院内感染の観点では、緑膿菌ほど一般的かつ深刻な多剤耐性菌ではない。正しくは:コレラ菌は主に経口感染し、抗菌薬による治療と輸液療法が行われる。選びやすい理由:水系感染症として世界的に重要であり、抗生剤耐性も問題となることがあるため、選択肢として魅力的だが、院内感染における多剤耐性菌としては緑膿菌の方が適切である。混同注意:途上国で問題となる耐性菌と混同しやすいが、日本の院内感染における多剤耐性の焦点とは異なる。
- 5. 正解。緑膿菌は、医療施設内で見られる代表的な日和見感染菌であり、多くの抗菌薬に対して耐性を持ちやすい。特に免疫力が低下した患者や長期入院患者において、肺炎、尿路感染症、敗血症などの重篤な感染症を引き起こし、治療を困難にするため、多剤耐性菌として最も注意すべき菌の一つである。正しくは:緑膿菌は様々な環境に生息し、医療器具や湿潤環境で増殖しやすいため、厳格な感染対策が求められる。選びやすい理由:他の菌も感染症を引き起こすが、緑膿菌は特に院内感染と多剤耐性の関連が深い。混同注意:ブドウ球菌や腸球菌などの他の多剤耐性菌と混同しやすいが、緑膿菌はグラム陰性桿菌として重要な位置を占める。
国試ポイント
医療施設における感染管理の基本知識、特に多剤耐性菌とその対応に関する理解が問われる。代表的な多剤耐性菌の種類と、それぞれが引き起こす可能性のある感染症について把握しておく必要がある。
混同注意
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)など、他の代表的な多剤耐性菌と混同しやすいが、それぞれ特徴的な感染症や耐性パターンを持つため、区別して理解することが重要である。
次に同じ論点が出たら
多剤耐性菌による院内感染が疑われる患者への対応として、適切な隔離予防策や検体採取、治療薬選択のための感受性検査について判断できるか。
関連知識
医療関連感染(HAI)、抗菌薬耐性(AMR)、標準予防策、接触予防策、MDRP(多剤耐性緑膿菌)、ESBL産生菌(基質特異的拡張型β-ラクタマーゼ産生菌)。