Aさん(70歳、女性)は夫(68歳)と2人で暮らしている。BMI 26で左股関節の変形性関節症のため関節可動域の制限と疼痛があり、外出時はT字杖を使用している。症状が強いときに消炎鎮痛薬を服用しているが、日常生活動作は自立している。Aさんは過去に転倒したことはないが、左右の下肢の差が3cmあり、立ち上がるときにふらつくことがある。自宅で座って過ごす時間が長い。Aさんは定期受診のため夫に付き添われて外来を受診した。 外来で、診察終了後にAさんから「少し話がある」と言われた女性のB看護師は、空いている診察室で面談した。Aさんから「男性の医師には聞けなかったのですが、性交はやめておいた方がよいでしょうか。股関節の痛みが強くなることはないのですが、夫も心配していました」と相談があった。このときのB看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
変形性股関節症患者の性行為は、股関節に負担がかかる特定の体位を避けることで継続可能です。性行為が患者の生活の質に与える影響は大きく、安易な中止の推奨は患者の心理的・社会的苦痛を増大させる可能性があります。看護師は、患者の懸念に対し、具体的な解決策として負担の少ない体位を提案し、性生活の継続を支援することが適切です。これにより、患者の不安を軽減し、QOLの維持に貢献します。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者の個別の状況や医学的アドバイスを軽視し、他者の経験談に依存させる方法は、専門職として不適切であり、かえって不安を増大させる可能性があります。正しくは:B看護師が直接、医学的根拠に基づいた情報提供や、必要に応じて医師への確認を行うべきです。選びやすい理由:同じ悩みを持つ人の意見は参考になるという一般論から選びやすいかもしれませんが、医療専門職としては具体的な医学的アドバイスが求められます。混同注意:患者会の活用と個別の医学的アドバイスの提供の区別。患者会は精神的サポートに有効ですが、具体的な医療相談は専門職が行うべきです。
- 2. 正解。変形性股関節症患者が性行為を継続する上で、股関節への負担を軽減する体位を指導することは、患者のQOLを維持しつつ、症状の悪化を防ぐための具体的な支援策として最も適切です。選びやすい理由:患者の懸念を具体的に解決し、生活の質を尊重する視点が明確なため選びやすいです。混同注意:活動制限の必要性と、活動継続のための工夫の提案の区別。
- 3. 潤滑剤の使用は、性交痛の軽減には有効な場合がありますが、股関節への機械的負担を直接軽減するものではなく、変形性股関節症における根本的な問題解決にはなりません。また、患者の相談内容が股関節の痛みであり、性交痛ではないため、この提案は焦点がずれています。正しくは:まずは股関節に負担がかからない体位について説明し、必要に応じて性交痛の有無やその他の懸念についても確認すべきです。選びやすい理由:性行為に関する一般的なアドバイスとして思いつきやすいため。混同注意:性交痛の軽減策と、関節疾患による身体的負担軽減策の区別。
- 4. 性行為を一律に避けるよう推奨することは、医学的に必要がない限り、患者のQOLを著しく損ない、不必要な精神的苦痛を与えることになります。変形性股関節症であっても、体位を工夫することで性行為は継続可能です。正しくは:股関節に負担がかからない体位について具体的に説明し、患者の性生活の継続を支援すべきです。選びやすい理由:関節への負担を心配するあまり、安易に活動制限を推奨してしまうことがあるため。混同注意:疾患による活動制限の厳格な適用と、患者の生活の質を考慮した個別対応の区別。
国試ポイント
変形性股関節症患者の生活指導において、QOLを考慮した具体的な支援方法を理解しているか。
混同注意
疾患による活動制限と、患者の生活の質を考慮した活動の継続支援との区別。医学的制限がないのに活動を禁止するのではなく、工夫による継続を促す視点が重要です。
次に同じ論点が出たら
患者のQOL維持に関する相談に対し、安易な活動制限を推奨する選択肢は不適切と判断し、具体的な工夫や支援を提案する選択肢が適切であると判断する。
関連知識
変形性股関節症の患者教育には、股関節保護のための日常生活動作指導(例:靴下を履く工夫、和式トイレの避ける)、体重管理、運動療法の指導が含まれます。また、患者の個別性を尊重したカウンセリングも重要です。