Aさん(70歳、女性)は夫(68歳)と2人で暮らしている。BMI 26で左股関節の変形性関節症のため関節可動域の制限と疼痛があり、外出時はT字杖を使用している。症状が強いときに消炎鎮痛薬を服用しているが、日常生活動作は自立している。Aさんは過去に転倒したことはないが、左右の下肢の差が3cmあり、立ち上がるときにふらつくことがある。自宅で座って過ごす時間が長い。Aさんは定期受診のため夫に付き添われて外来を受診した。 B看護師は、Aさんが処置室前の待合室でT字杖を持ち、椅子から立ち上がろうとしているのを見かけた。B看護師が声をかけると、Aさんは「夫が会計をしていますが、急にトイレに行きたくなって」と慌てていた。夫はAさんから2mほど離れた所で会計をしているため、Aさんの様子に気がついていない。待合室は患者や家族で混雑しており、外来にある車椅子は別の患者が使用中だった。AさんへのB看護師の声かけで適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aさんは急な尿意で焦っており、T字杖を使用していることから転倒のリスクが高いです。待合室は混雑し車椅子もない状況で、B看護師が直接付き添うことで、Aさんの安全を確保し、精神的な安心感を提供しつつ、速やかにトイレへ誘導できます。これは患者の安全確保と尊厳を守る上で最も適切な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 車椅子が全て使用中のため、探してくることはすぐにAさんの問題を解決せず、待たせることで転倒リスクや苦痛を増大させます。緊急性が高いため不適切です。正しくは:この状況では、他の選択肢を優先すべきです。選びやすい理由:移動手段として車椅子が一般的であり、安全な移動方法として考えるため。混同注意:緊急性の低い状況での安全な移動手段の確保と、緊急性の高い状況での即時対応。
- 2. 夫を呼んでも、夫がすぐにAさんの介助ができるとは限りません。夫も高齢である可能性もあり、また、Aさんは夫を待つことでさらに焦りを感じ、転倒リスクが高まる可能性があります。看護師が直接介入する方が確実で安全です。正しくは:この状況では、看護師が直接介入し、トイレまで付き添うのが適切です。選びやすい理由:家族による介助が適切と考える場合があるため。混同注意:家族によるケアの重要性と、医療専門職による緊急時の直接的支援の必要性。
- 3. 正解。AさんはT字杖を使用しており、急いでいるため転倒リスクが高いです。看護師が付き添うことで、Aさんの歩行を支援し、転倒を予防しながら安全にトイレまで誘導できます。また、患者の不安を軽減し、尊厳を守ることにもつながります。選びやすい理由:これは正答であるため、選びやすい選択肢です。混同注意:緊急時の直接的介助の重要性と、遠隔からの指示や他者に任せる選択肢。
- 4. 「転ばないように、気をつけて行ってくださいね」という声かけだけでは、具体的な転倒予防策にはなりません。AさんはT字杖を使用しており、急いでいる状況のため、口頭での注意喚起だけでは不十分であり、転倒リスクは高いままです。正しくは:転倒リスクの高い患者には、口頭での注意喚起に加えて、具体的な身体的支援や付き添いが必要です。選びやすい理由:患者への声かけとして、一般的な気遣いの言葉だから。混同注意:患者への一般的な声かけと、具体的な身体的危険を伴う状況での適切な介入。
国試ポイント
高齢者や身体機能が低下した患者の転倒予防と、緊急時の個別的支援の重要性。
混同注意
緊急性や個別のニーズを考慮せず、一般的な介助方法(例:車椅子の利用)を優先することとの混同。
次に同じ論点が出たら
同様の状況では、患者の緊急性、身体能力、周囲の環境、利用可能な資源を総合的に判断し、最も安全で個別性の高い直接的援助を選択する。
関連知識
高齢者の転倒リスク評価(例:Morse Fall Scale)、排泄の援助、患者中心のケア、緊急時の状況判断能力。