Aさん(79歳、女性)。自宅の玄関で転倒し、救急外来で第12胸椎の圧迫骨折と診断され、安静目的で入院した。既往歴:5年前に大腿骨骨折。現病歴:2年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病を発症。記憶障害があるが、失認、観念運動失行および失語はなし。生活歴:要介護1。同じ敷地内に住む長男夫婦は仕事をしている。ADLは自立。 入院当日、Aさんは看護師に「ここはどこですか」と同じ質問を繰り返している。このときの看護で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは入院初日で環境の変化からせん妄状態にある可能性が高く、見当識障害が生じています。骨折で入院中という現在の状況を繰り返し伝えることで、Aさんの現実検討能力を支援し、環境への適応を促し、安心感を提供することが最も適切な対応となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者の身体拘束は、せん妄を悪化させる可能性があり、患者の尊厳を損なうため、最終手段として検討されるべきです。この状況では不適切です。正しくは:まずは身体拘束以外の方法で見当識の回復を試み、安全確保に努める。選びやすい理由:興奮状態や転倒のリスクを考慮すると、患者の安全確保のために一時的に拘束を考えるかもしれない。混同注意:患者の安全確保と、そのための適切な手段。
- 2. 家族の付き添いは有効な場合もありますが、入院初日で患者の状態を把握しきれていない段階で、夜間の付き添いを要請するのは適切ではありません。看護師が患者の状態に応じた対応をすることが優先されます。正しくは:まず看護師が患者の状況をアセスメントし、適切な環境調整や精神的支援を行う。家族の協力はその後検討する。選びやすい理由:家族の存在は患者に安心感を与えるため、せん妄の緩和に有効だと考えるかもしれない。混同注意:せん妄に対する家族の役割と、医療者の役割の優先順位。
- 3. 病室のベッドをナースステーションの近くに移すことは、患者の安全確保や観察を容易にする点で有効ですが、この問いかけに対して直接的な解決策ではありません。まずは患者の見当識を回復させるための情報提供が優先されます。正しくは:情報提供で見当識を回復させた後、必要に応じてベッド位置の調整を検討する。選びやすい理由:ナースステーション近くであれば、患者を観察しやすくなり、困った時にすぐ対応できるため、安全確保の観点から良いと考えるかもしれない。混同注意:環境調整による安全確保と、見当識の回復のための直接的な介入。
- 4. 正解。Aさんは「ここは何という場所ですか」と見当識障害を示しています。骨折で入院中であることを繰り返し伝えることで、現在の状況を患者に認識させ、現実検討能力を支援し、安心感を与えることでせん妄状態の緩和につながります。選びやすい理由:これは正しい選択肢なので、誘惑されるというよりも、問題の意図を理解すれば選べる。混同注意:せん妄患者への情報提供の重要性。
国試ポイント
せん妄患者への看護介入の基本(見当識の確認と回復、環境調整、身体的介入)を理解する。
混同注意
単なる認知症による見当識障害と急性発症のせん妄との区別。せん妄は身体的・環境的要因で急速に発症し、時間帯で変動する特徴がある。
次に同じ論点が出たら
同様のせん妄のケースでは、まず患者の安全を確保し、次に環境調整や情報提供による見当識の回復支援が優先されるかを判断する。
関連知識
せん妄の誘発因子(脱水、感染、薬剤、睡眠不足、環境変化など)、せん妄の症状(見当識障害、記憶障害、幻覚、錯覚、精神運動興奮)、せん妄の治療(原因疾患の治療、環境調整、薬物療法)。