Aちゃん(6歳、女児)は、左上腕骨顆上骨折と診断され、牽引治療のために入院した。医師からAちゃんと家族に対し、牽引と安静臥床の必要性を説明した後、弾性包帯を用いて左上肢の介達牽引を開始した。Aちゃんに対する看護で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
弾性包帯による介達牽引では、包帯の緩みによる牽引効果の低下や、皮膚の圧迫・循環障害を防ぐため、少なくとも1日1回は弾性包帯を巻き直し、皮膚の状態を観察します(公式正答4)。
選択肢ごとの解説
- 1. 食事は全て介助で行う必要はなく、可能であれば体位を工夫し、自分で食べられる範囲で自立を促します。安静臥床中でも、ADLを可能な限り維持することが重要です。正しくは:食事は可能な範囲で自立を促し、食べやすい姿勢を工夫する。選びやすい理由:安静臥床が基本であるため、全て介助が必要だと考えがちですが、過剰な介助は自立を妨げます。混同注意:絶対安静とADLの制限を混同している。絶対安静でも可能な範囲での自立支援は重要。
- 2. 左手指の熱感は炎症や循環障害の兆候であるため、注意深く観察することは必要ですが、最も優先されるのは牽引効果の維持と皮膚障害の予防であり、そのための弾性包帯の巻き直しです。循環評価は弾性包帯の巻き直しと同時に行われるべき重要な項目ではあります。選びやすい理由:熱感は循環障害や感染の徴候であり、重要な観察項目であるため、正しい対応のように思えます。しかし、選択肢4の方がより直接的なケアと予防策です。混同注意:循環障害の観察の重要性と、介達牽引における直接的なケアの優先順位を混同している。熱感は「観察項目」であり、「対応」としては巻き直しがより適切。
- 3. 抑制ジャケットの常時着用は、子どものQOLを著しく低下させ、精神的ストレスを与えます。不必要な抑制は避けるべきであり、患児の安全確保は必要最小限の抑制にとどめ、遊びや声かけで不安を軽減するよう努めます。正しくは:抑制は必要最小限にとどめ、声かけや遊びで不安を軽減する。選びやすい理由:小児が牽引肢位を保持できないため、抑制が必要だと考えがちですが、常時着用は過剰な抑制です。混同注意:患児の安全確保と不適切な抑制を混同している。抑制は最終手段であり、他の方法で対処すべき。
- 4. 正解。弾性包帯は時間とともに緩んだりずれたりするため、少なくとも1日1回は巻き直し、皮膚の発赤や循環状態を確認します。選びやすい理由:正答肢であるため、誘惑される要素は少ない。混同注意:特に混同しやすい概念はありません。介達牽引の基本ケアです。
- 5. 痛みを訴えたからといって、看護師が独断で重錘の重さを変更することはできません。重錘の重さは医師が決定する治療の一部であり、変更が必要な場合は必ず医師に報告し、指示を仰ぐ必要があります。痛みに対しては、鎮痛剤の使用や体位調整などを検討します。正しくは:痛みを訴えたら、医師に報告し指示を仰ぐとともに、鎮痛剤の使用や体位調整を検討する。選びやすい理由:痛みの軽減は重要な看護目標であるため、重錘の変更が解決策だと考えがちですが、看護師の判断で治療内容を変更することはできません。混同注意:疼痛緩和の必要性と、医師の指示なしに治療内容を変更することの区別を混同している。看護師の裁量範囲を逸脱している。
国試ポイント
小児の牽引療法における看護の基本、特に介達牽引の皮膚トラブルと牽引効果維持に関する注意点。
混同注意
牽引中の疼痛管理や循環評価と、介達牽引の包帯管理の優先順位を混同しやすい。包帯の巻き直しは皮膚状態の観察と牽引効果の維持の両側面を持つ。
次に同じ論点が出たら
牽引療法中の患者の看護問題や合併症予防に関する設問では、皮膚、神経、循環の状態観察、牽引効果の維持、疼痛管理、患者の安楽、発達段階に応じた関わり、の5つの視点から判断する。
関連知識
介達牽引では、皮膚トラブル(水疱、褥瘡)や神経麻痺、循環障害の有無を定期的に確認することが重要です。また、重錘が床につかないか、牽引方向が適切かなどの基本的な観察項目も覚える必要があります。小児では安静臥床が困難なため、遊びを取り入れるなど発達段階に応じた看護が求められます。