成人への坐薬の挿入方法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
坐薬は、直腸から有効成分が吸収されることで効果を発揮します。そのため、挿入後は直ちに排出されないよう、肛門を数分間圧迫して保持することが重要です。これにより、坐薬の溶解が促され、成分が十分に吸収される時間が確保されます。他の選択肢は、不適切な体位や挿入方法、患者への不適切な指示であり、坐薬の効果を妨げたり、不快感を増大させたりする原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 息を止めるよう指示すると、患者は無意識に肛門括約筋に力を入れてしまい、坐薬の挿入が困難になったり、不快感が増したりする可能性があります。正しくは:患者には、口からゆっくりと息を吐くように促したり、深呼吸をさせたりして、肛門括約筋をリラックスさせるよう指導します。選びやすい理由:力を入れさせない、という意図で一時的に息を止めることを考えるかもしれませんが、これは逆効果です。混同注意:排便時のいきみと混同したり、力を抜く指示が曖昧になったりすることがあります。
- 2. 坐薬挿入時は、直腸の形状を考慮し、左側臥位になってもらうのが一般的です。左側臥位にすることで、S状結腸が重力で下がり、直腸がまっすぐになり、坐薬がスムーズに挿入されやすくなります。正しくは:患者に左側臥位になってもらい、上側の膝を曲げた姿勢をとってもらいます。選びやすい理由:体位の重要性は理解していても、左右の区別が曖昧な場合に選びやすい選択肢です。混同注意:他の処置や身体検査で右側臥位が指示される場合と混同しやすいことがあります。
- 3. 正解。坐薬挿入後に肛門を数分間軽く圧迫することで、坐薬が直ちに排泄されるのを防ぎ、直腸内での溶解と有効成分の吸収を促進します。また、不快感を軽減する効果もあります。
- 4. 坐薬は肛門括約筋を越えて直腸粘膜に接触することで効果を発揮します。肛門縁から数センチ程度の浅い位置では、坐薬が排泄されやすかったり、肛門括約筋によって圧迫されて不快感が増したりする可能性があります。一般的には指の第一関節くらい(約4~5cm)の深さが推奨されます。正しくは:坐薬は肛門括約筋を越え、指の第一関節くらい(約4~5cm)の深さまで挿入します。選びやすい理由:深く挿入することに抵抗を感じる場合や、患者の不快感を最小限に抑えたいという思いから、浅めに挿入することが適切だと誤解する可能性があります。混同注意:浣腸のチューブ挿入深さや、刺激を避けるための他の処置と混同することがあります。
国試ポイント
看護師国家試験において、坐薬の挿入方法は基本的な薬物投与技術として頻繁に出題されます。特に、適切な体位の選択、挿入時の患者への声かけと注意点(肛門括約筋のリラックス)、正確な挿入深さ、および挿入後の処置(排出防止、吸収促進)といった一連の手順と根拠が問われるポイントです。
混同注意
坐薬の挿入手技は、浣腸や摘便など、他の直腸内処置と混同されやすいことがあります。また、乳幼児と成人では、体の大きさや発達段階が異なるため、挿入時の体位や挿入深さ、注意点に違いがあることもしばしば問われます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の坐薬の問題が出題された際には、「成人か小児か」をまず確認し、次に「挿入前」「挿入中」「挿入後」のどの段階の処置が問われているかを明確に判断することが重要です。特に、挿入後の坐薬の保持と排出防止の重要性は、常に意識しておくべき点です。
関連知識
坐薬の作用機序(局所作用・全身作用)、直腸の解剖生理(肛門括約筋、S状結腸、直腸静脈叢)、坐薬の種類と適応・禁忌、薬物吸収経路としての直腸の特性、患者へのインフォームドコンセント(説明内容、観察項目)。