救急外来を受診した成人患者で、治療の緊急度が最も高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
選択肢1の症状は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害の典型的な兆候であり、発症からの時間が極めて重要です。治療開始が遅れると、不可逆的な脳損傷が進行し、重篤な後遺症や生命の危険につながります。特にt-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)静注療法は発症後4.5時間以内が目安とされており、時間との勝負となるため、最も高い緊急性が求められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。これは脳卒中の典型的な症状であり、発症から治療開始までの時間が予後を大きく左右するため、最も緊急性の高い状態です。迅速な診断と治療(例:t-PA療法)が必要です。
- 2. 精神的な苦痛を示唆する症状ですが、生命に直接的な危険が迫っている緊急性は低いです。心理的サポートや精神科的評価が必要ですが、救急外来での最優先治療ではありません。正しくは:この場合は、グリーフケアや精神科への連携が適切です。選びやすい理由:患者の苦痛が大きいことは明らかですが、身体的な緊急性とは異なります。混同注意:心理的な苦痛と身体的な緊急性を混同しやすいかもしれません。
- 3. 軽度の熱傷(I度熱傷)の可能性が高く、痛みは伴いますが、生命を脅かすほどの緊急性は通常ありません。冷却や保湿などの対症療法が中心になります。正しくは:冷却や対症療法で対応し、必要であれば皮膚科受診を促します。選びやすい理由:強い痛みや広範囲の発赤は、患者にとって辛い症状ですが、生命維持に関わる緊急性は低いです。混同注意:熱傷の重症度(I度、II度、III度)の判断を誤ると、緊急性を高く見積もりがちです。
- 4. 薬物の過量服用であり、副作用や中毒のリスクはありますが、直ちに生命が危険に瀕するほどの緊急性があるかどうかは薬の種類や量、患者の状態に依存します。多くの場合、観察や胃洗浄、活性炭投与などで対応可能で、上記1の状態よりは優先度が低いです。正しくは:服用した薬の種類、量、時間を確認し、中毒情報センターへの連絡や胃洗浄、活性炭投与などの対応を検討します。選びやすい理由:薬の過量摂取は危険な状態であるという認識から、緊急性が高いと判断しやすいです。混同注意:全ての薬物過量摂取が即座に生命危機となるわけではない点を理解していないと、過度に緊急性を高く評価してしまう可能性があります。特に致死量の低い薬物や、症状が出現している場合との区別が重要です。
国試ポイント
救急外来における患者のトリアージ能力、特に生命に直結する疾患の初期症状を正確に把握し、緊急度を適切に判断できるかどうかが問われています。脳血管障害、心血管疾患、呼吸器疾患、重症外傷など、生命予後に関わる緊急疾患の初期症状を理解している必要があります。
混同注意
身体的な苦痛が大きくても、生命に直結しない疾患(例:軽度の熱傷、精神的な苦痛)と、症状は限定的でも迅速な治療が必要な生命危機(例:脳卒中、心筋梗塞)との区別が曖昧になりがちです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、疾患の特性(時間依存性、生命予後への影響、治療法)を考慮し、最も迅速な介入を必要とする状態を選ぶことが求められます。特に、早期介入が予後を大きく左右する疾患に注目しましょう。
関連知識
脳卒中のFAST(Face, Arm, Speech, Time)サイン、心筋梗塞の症状、アナフィラキシーショック、急性呼吸不全、重症外傷(Primary Survey: ABCDE)など、救急時の初期評価に関する知識。