Aさん(21歳、女性、大学生)は、1人で暮らしている。友人関係のトラブルでうつ状態になり、3か月前から精神科クリニックへの通院を開始した。頓用の抗不安薬を処方され不安が高まったときに服用していたが、徐々に酩酊や陶酔感を得るために服用するようになった。最近は指示された抗不安薬の量では酩酊や陶酔感が得られなくなってきたため、数日分の薬を溜めて一度に大量に服用するようになった。抗不安薬を大量に使用した翌日は大学を休むことが続いていた。 Aさんの現在の状態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aさんは、薬物を多量に摂取し、止めようと思っても止められない状況にあり、体調不良や家族関係の悪化といった生活上の問題が生じている。これはWHOの国際疾病分類第10版(ICD-10)における「精神作用物質の使用による精神及び行動の障害」の「有害な使用」に該当する。有害な使用とは、精神作用物質の使用によって身体的または精神的な健康に損害が生じているにもかかわらず、その使用を継続している状態を指す。選択肢3は、この状態を適切に表現している。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性中毒は、一度に多量の薬物を摂取した際に生じる生命を脅かす状態であり、Aさんの断薬後の症状とは異なる。正しくは:急性中毒の状態である。選びやすい理由:精神活性物質の摂取に関連する状態であるため、選択肢として考慮される可能性がある。混同注意:急性中毒と離脱症状の区別がつきにくい場合、誤って選択することがある。
- 2. 拘禁反応は、自由を奪われた環境(刑務所など)に置かれた際に生じる精神状態であり、薬物使用の状況とは直接関連しない。正しくは:拘禁反応が出現している。選びやすい理由:精神的なストレス反応の一種であるため、誤って関連付ける可能性がある。混同注意:広義の精神科的反応として誤解する可能性がある。
- 3. 正解。Aさんは、薬物の使用によって生活に支障(多量摂取、やめられない、家族からの指摘、体調不良)が生じており、これはICD-10における「精神作用物質の使用による精神及び行動の障害」のうち「有害な使用」に該当する。過去の用語では乱用と呼ばれることがあった。正しくは:薬物の有害な使用である(過去の用語では乱用)。選びやすい理由:薬物依存症と混同しやすいが、有害な使用は依存症の前段階または並行して起こり得る状態である。混同注意:依存症との違いや、ICD-10の分類(有害な使用と依存症)が理解できていないと、判断に迷う可能性がある。
- 4. フラッシュバックは、過去の幻覚体験や錯覚が再び現れる現象であり、LSDなどの幻覚剤で起こりやすい。Aさんの症状は、断薬後の精神的な渇望や身体症状であり、フラッシュバックとは異なる。正しくは:フラッシュバックが出現している。選びやすい理由:精神作用物質に関連する症状として、漠然と選択肢に挙がる可能性がある。混同注意:精神症状が広範であるため、用語の正確な意味を知らないと誤解することがある。
国試ポイント
薬物関連障害における「有害な使用」の概念と、他の精神症状(急性中毒、拘禁反応、フラッシュバック)との区別を理解しているか。ICD-10の精神作用物質関連障害の分類を把握しているかが問われる。
混同注意
「依存症」と「有害な使用」は混同しやすいが、依存症はより重度な状態であり、耐性、離脱症状、コントロール障害などの特徴を複数満たす必要がある。有害な使用は、健康被害があるにもかかわらず使用を継続している状態であり、依存症に至る前段階や同時に存在することもある。
次に同じ論点が出たら
Aさんの状態が「有害な使用」であることを踏まえ、次にどのような看護介入(例:動機づけ面接、身体合併症への対応、家族支援、専門機関への連携)が必要かを判断する。
関連知識
ICD-10における精神作用物質関連障害の分類(急性中毒、有害な使用、依存症候群、離脱状態、精神病性障害など)。それぞれの診断基準と特徴。薬物乱用問題に対する看護介入の基本。