老化による免疫機能の変化はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
加齢に伴い、胸腺の萎縮、T細胞機能の低下、B細胞機能の低下などにより、獲得免疫(細胞性免疫および液性免疫)の反応が全体的に低下します。これにより、感染症への抵抗力が弱まり、自己免疫疾患の発症リスクも変化します。また、炎症性サイトカインはむしろ増加する傾向にあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 胸腺は加齢とともに萎縮し、その機能は低下します。正しくは:胸腺の萎縮選びやすい理由:老化によって体の一部が機能低下するイメージとは逆の「肥大」が誤りであることを明確にする選択肢です。混同注意:子どもの頃は胸腺が大きく活発ですが、思春期以降は徐々に退縮します。
- 2. T細胞の総数は減少するか、機能が低下します。特にナイーブT細胞は減少し、メモリーT細胞の割合が増えます。正しくは:T細胞の減少または機能低下選びやすい理由:免疫機能が低下するという一般的な認識に対し、具体的な細胞の名前が出てくるため、選択肢として目を引きます。混同注意:加齢に伴いT細胞の質的変化(ナイーブT細胞の減少、メモリーT細胞の増加)も起こりますが、全体的な応答能力は低下します。
- 3. 正解。加齢により、T細胞やB細胞の機能が低下するため、ウイルスや細菌に対する抗体産生能力や細胞性免疫応答が鈍くなり、感染症にかかりやすくなったり、ワクチンの効果が低下したりします。選びやすい理由:老化による免疫機能全般の低下という、最も一般的な知識に合致する選択肢です。混同注意:自然免疫と比較して、獲得免疫の反応低下が顕著です。
- 4. 高齢者では慢性的な低レベルの炎症が持続する「炎症老化(inflammaging)」が見られ、炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)の血中濃度はむしろ増加する傾向にあります。正しくは:炎症性サイトカインの産生の増加選びやすい理由:免疫機能低下と聞くと、すべてが「減る」というイメージを持ちがちですが、炎症性サイトカインは例外です。混同注意:免疫応答全般の低下と、特定のサイトカインレベルの変化を混同しやすいです。慢性炎症状態は高齢者によく見られます。
国試ポイント
高齢者の生理学的変化、特に免疫系の老化による特徴を問う問題です。どの機能が低下し、どの機能が変化しないか、あるいは増加するかを具体的に理解しているかが重要です。
混同注意
免疫機能全般の「低下」という漠然とした知識だけではなく、各細胞やサイトカインレベルの具体的な変化を正確に把握していないと、誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。特に、炎症性サイトカインの増加(炎症老化)は、多くの学生が免疫低下と混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後も、老化に伴う各臓器・機能の変化(例:循環器、呼吸器、消化器、腎機能、神経系など)が問われることが予想されます。特に「増加」「減少」「変化なし」の区別を正確に押さえることが重要です。また、生活習慣病との関連も問われる可能性があります。
関連知識
自然免疫と獲得免疫の違い、T細胞とB細胞の機能、胸腺の役割、サイトカインの種類と働き、炎症老化(inflammaging)。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの高齢者への接種推奨の背景にある免疫機能の変化。