心周期に伴う心臓の変化で、収縮期の初期には心室の容積は変わらずに内圧が上昇していく。このときの心臓で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
心周期の収縮初期において、心室の容積が変化せずに内圧が上昇する時期は「等容性収縮期」と呼ばれます。この時期には、心室内の血液が心房へ逆流しないように僧帽弁と三尖弁が閉鎖し、同時に大動脈弁と肺動脈弁もまだ開いていません。これは、心室の内圧がまだ大動脈圧(または肺動脈圧)を下回っているためです。心室がさらに収縮し、内圧が大動脈圧を上回ると大動脈弁が開き、血液が大動脈へ駆出され始めます。
選択肢ごとの解説
- 1. 心室収縮の初期には、心室内の血液が心房へ逆流しないように僧帽弁は閉じている必要があります。僧帽弁が開いているのは心室拡張期です。正しくは:僧帽弁は閉じている。選びやすい理由:収縮期の途中で弁が開くイメージがあるため、早期の段階を誤解する可能性がある。混同注意:僧帽弁の開閉タイミングと心周期の関係を混同する。
- 2. 大動脈弁が開くのは、左心室の内圧が大動脈圧を上回った後、血液が大動脈へ駆出される時期です。収縮初期の「心室の容積は変わらずに内圧が上昇」している段階では、まだ大動脈圧より低いため大動脈弁は閉鎖しています。正しくは:大動脈弁は閉じている。選びやすい理由:収縮期全体を大動脈弁が開いている時期と誤解する可能性がある。混同注意:等容性収縮期と駆出期の区別がついていない。
- 3. 心室の容積が最小となるのは、心臓が収縮を終え、血液が駆出された後の収縮末期です。問題文の「心室の容積は変わらずに内圧が上昇」する段階は収縮初期の等容性収縮期であり、まだ駆出が始まっていないため容積は最小ではありません。正しくは:左心室の容積は最大に近い状態にある。選びやすい理由:収縮期全体で心室容積が減少するというイメージから、早期に最小になると誤解する。混同注意:等容性収縮期と駆出期、収縮末期の容積変化を混同する。
- 4. 正解。心室の収縮初期において、心室の容積を変化させずに内圧が上昇していく等容性収縮期では、まだ左心室の内圧は大動脈圧に達しておらず、弁は閉鎖しています。この後、大動脈圧を上回ることで大動脈弁が開き、駆出が始まります。選びやすい理由:大動脈弁が開いて駆出が始まる直前のため、非常に近い値であると考えるが、まだ下回っているのが特徴。混同注意:心室駆出期と等容性収縮期の圧力関係を混同する。
国試ポイント
心周期における各弁の開閉タイミングと心室内圧・大動脈圧(肺動脈圧)の関係、および心室容積の変化を正確に理解しているかが問われています。特に「等容性収縮期」の定義と特徴が重要です。
混同注意
心室の収縮期全体を一つの段階と捉えがちですが、等容性収縮期と駆出期に分けられ、それぞれ弁の開閉状態や圧力が異なります。また、大動脈弁と僧帽弁の開閉タイミングを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
この問題で正答できなかった場合は、心周期の図(Wiggers diagramなど)を参考に、各弁の開閉、圧力変化、容積変化、心電図、心音の関係を視覚的に復習すると良いでしょう。
関連知識
心周期の各段階(心房収縮期、等容性収縮期、駆出期、等容性弛緩期、急速流入期、緩徐流入期)における、心電図、心音、心室内圧・大動脈圧・心房圧、心室容積の変化を連動させて理解することが重要です。