Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。 Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
患者さんの療養環境を整えつつ、患者さんの回復を支援するためにご家族の協力は重要です。文化的な背景や患者さんのニーズを尊重し、病院の規則を一方的に押し付けるのではなく、双方にとって納得できる妥協点を見出すための対話と調整が最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者さんの回復にとってご家族の精神的・身体的サポートは重要です。病院の規則や日本の文化だけを一方的に主張するのではなく、患者さんとご家族の文化背景、ニーズを尊重し、病院側の安全管理や療養環境維持の観点も踏まえながら、双方が納得できる現実的な調整案を話し合うことが、信頼関係を築き、患者中心の看護を提供する上で最も適切です。選びやすい理由:患者さんの意向と病院の規則の間で、柔軟かつ包括的な対応の重要性を認識しているため。混同注意:患者の希望を全て受け入れることと、調整すること。単なる「折衷案」ではなく、根拠に基づいた合意形成のプロセスである点。
- 2. ご希望通りに病室での宿泊を許可することは、感染管理上のリスク、他の患者さんの療養環境への影響、医療安全の確保、災害時の避難経路の確保など、多くの問題を引き起こす可能性があります。病院の規則があるのは、これらのリスクを管理するためです。一方的な許可は不適切です。正しくは:ご希望を伺いつつ、病院の規則や医療安全上の理由を説明し、代替案や調整の可能性について話し合うべきです。選びやすい理由:患者さんの意向を尊重したいという気持ちから、安易に希望を受け入れてしまいがちになるため。混同注意:患者中心の看護と、病院の安全管理義務のバランス。患者の希望を優先することと、安全・倫理的かつ現実的な解決策を提示すること。
- 3. 日本の医療機関でも、小児病棟や終末期医療など、特定の状況下では家族の付き添い宿泊が認められる場合があります。また、文化的な背景や患者さんの状態によっては、柔軟な対応が求められることもあります。一概に「できない」と断言することは、患者さんやご家族の意向を無視し、信頼関係を損なう可能性があります。正しくは:日本の一般的な病院では難しい場合が多いことを説明しつつ、Aさんの状況やご家族の文化背景を踏まえた上で、どのような支援が可能かを検討し、共に話し合う姿勢を示すべきです。選びやすい理由:日本の病院の一般的な規則を思い浮かべ、それをそのまま適用しようとしてしまうため。混同注意:一般的な規則と、個別の事情に応じた柔軟な対応の必要性。文化背景の異なる患者への対応。
- 4. 一方的に近隣の宿泊施設利用と日中来院を促すことは、ご家族が付き添いを希望する理由(Aさんの身辺介護の必要性、精神的な支えなど)や文化背景を十分に考慮していない対応です。また、ご家族の経済的な負担や身体的な負担を無視することにもつながり、信頼関係を損ねる可能性があります。正しくは:まずはご家族が付き添いを希望する背景や目的を詳しく伺い、その上で、病院として提供できるサポートや代替案を提示し、ご家族の意向と病院側の事情をすり合わせる話し合いを持つべきです。選びやすい理由:病院の規則や管理側の視点から、最も手間のかからない解決策だと考えてしまいがちになるため。混同注意:病院側の都合の良い解決策と、患者・家族にとっての最善の解決策。一方的な指示と、対話を通じた合意形成。
国試ポイント
患者中心の看護と多文化共生、病院規則の柔軟な運用に関する看護師の倫理的判断力が問われる。
混同注意
家族の面会や付き添いに関する個別の病院規則と、倫理的な対応原則を混同しない。病院の規則は絶対的なものではなく、患者の状況や文化背景に応じて柔軟な対応が求められる場合がある。
次に同じ論点が出たら
患者・家族の意向と病院の規則が対立する状況で、双方の利益を最大化し、かつ安全・倫理的な看護が提供できる最善の解決策を話し合いによって導き出すという視点。
関連知識
医療安全、感染管理、患者・家族の権利、多文化看護、コミュニケーション技術。