Aさん(76歳、女性)は1人暮らし。脳血管疾患で右半身麻痺があり、障害高齢者の日常生活自立度判定基準はB-2である。週に2回の訪問看護を利用している。食事の準備と介助および食後の口腔ケアのため訪問介護を利用することになった。訪問介護の担当者は、Aさんのケアについて訪問看護師に助言を求めた。訪問看護師が訪問介護の担当者に助言する内容で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
嚥下機能が低下している場合、食物の形態を工夫することが重要です。野菜を繊維に垂直に切ることで、口の中で噛み砕きやすくなり、嚥下しやすい状態になります。これは誤嚥予防のための適切な調理法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 麻痺のある側に食物が残留しやすいため、健康な側ではなく、麻痺のある側に頸部を回旋させて嚥下を促す方が誤嚥のリスクを減らせます。健康な側を向かせると、麻痺側の咽頭に食物が貯留しやすくなります。正しくは:麻痺側に頸部を回旋させ食事の介助をする。選びやすい理由:健側に回旋させることで誤嚥を回避できると誤解しやすい。しかし、麻痺側への流入を防ぐことが目的。混同注意:どちらの方向に首を回すか混乱しやすいが、麻痺のある側の咽頭を閉鎖させ、健側での嚥下を促すのが基本。
- 2. 正解。繊維に垂直に切ることで、食物が噛み切りやすくなり、嚥下しやすい形状になります。これは嚥下困難な高齢者の誤嚥防止に有効な調理方法です。選びやすい理由:調理法に関する具体的な知識がないと選びにくいかもしれないが、嚥下困難者への配慮として正しい。混同注意:繊維に沿って切るのと垂直に切るのとで、どちらが食べやすいか混同する可能性がある。
- 3. 歯肉出血が見られても、出血部位を避けて、あるいは優しくケアを継続することが重要です。出血の原因が歯周病であれば、口腔ケアの継続によって改善することもあります。完全に中止してしまうと、口腔内の衛生状態が悪化し、かえって誤嚥性肺炎などのリスクが高まります。正しくは:歯肉出血がみられても、出血部位を避けて優しく口腔ケアを継続する。選びやすい理由:出血を避けたいという心理から中止を選択しがちだが、専門的な判断が求められる。混同注意:出血時の対応として「中止」が安全と考えるかもしれないが、口腔ケアの目的と重要性を理解していれば誤りだとわかる。
- 4. 食事中にテレビを見せることは、Aさんの意識がテレビに集中し、嚥下動作への集中を妨げる可能性があります。これにより誤嚥のリスクが高まるため、食事中は静かな環境で食事に集中してもらうことが望ましいです。正しくは:食事中はテレビを消し、静かな環境で食事に集中してもらう。選びやすい理由:食事の楽しみを増やすという意味では良いように思えるが、嚥下機能が低下している場合は危険。混同注意:食事中のリラックスを促すことと、誤嚥防止のための集中環境を混同しやすい。
国試ポイント
高齢者や脳血管疾患による嚥下障害がある方への食事介助や口腔ケアに関する知識が問われています。特に、誤嚥を防ぐための具体的な方法を理解しているかがポイントです。
混同注意
各選択肢が、それぞれ食事介助時の体位、食物形態、口腔ケア時の対応、食事環境という異なる側面に焦点を当てており、それぞれに専門的な知識が求められるため、一つずつ正確な判断が必要です。
次に同じ論点が出たら
Aさんの麻痺の状態や嚥下機能の評価に基づき、さらに具体的な食事の姿勢、食物の硬さ、とろみの有無などを検討し、個別性のあるケアプランを作成します。
関連知識
嚥下障害のある患者の食事介助、体位、食物形態(とろみ食、刻み食など)、口腔ケアの重要性、誤嚥性肺炎の予防。