伝えたいことがあるにも関わらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難になるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
構音障害は、発話に関わる口唇、舌、顎、軟口蓋、喉頭などの運動機能が障害されることによって、音を正確に作り出したり、言葉を明瞭に発音したりすることが困難になる状態を指します。脳血管障害の後遺症、神経変性疾患(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)、脳性麻痺などが原因となります。設問の「口や舌の動きがスムーズに行かず、言葉を明瞭に発音できない」という表現は、構音障害の典型的な症状を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 喚語困難は、言いたい単語を思い出すことができない状態を指します。発音自体が困難なのではなく、適切な語句を見つけられない認知・言語機能の障害です。正しくは:伝えたい単語が思い浮かばないため、正確に表現できないこと選びやすい理由:「伝えたいことがあるにも関わらず」という部分から、言葉を表現すること全般の困難と混同する可能性がありますが、喚語困難は単語検索の障害であり、発音の運動障害ではありません。混同注意:構音障害が発音の運動機能障害であるのに対し、喚語困難は言語内容(語彙想起)の障害であり、失語症の一症状です。
- 2. 正解。構音障害は、発話器官(舌、唇、軟口蓋、喉頭など)の運動機能に問題が生じることで、音を正確に作り出したり、明瞭に発音したりすることが困難になる状態です。設問の「口や舌の動きがスムーズに行かず、言葉を明瞭に発音できない」という記述に最も合致します。
- 3. 吃音は、話そうとする際に言葉がスムーズに出てこず、特定の音や単語の繰り返し、引き伸ばし、詰まりなどが生じる発話の流暢性障害です。発音器官の運動機能の障害による「ろれつが回らない」状態とは異なります。正しくは:言葉を話す際に特定の音や単語が繰り返されたり、伸びたり、詰まったりして流暢に話せないこと選びやすい理由:発話が困難であるという点では共通しているため、混同しやすいですが、吃音はリズムや流暢性の問題であり、発音運動の正確性の問題ではありません。混同注意:構音障害は発音器官の運動障害、吃音は発話の流暢性障害です。どちらもコミュニケーションに影響を与えますが、根本的なメカニズムが異なります。
- 4. 錯語は、意図しない単語や音を発してしまう失語症の一症状です。発音の明瞭さの問題ではなく、言葉の選択や置き換えの誤りを指します。正しくは:意図しない単語や音を発してしまうこと選びやすい理由:「言葉を明瞭に発音できない」という部分で、言葉の誤りと混同する可能性がありますが、錯語は言葉の選択の誤りであり、発音の運動障害ではありません。混同注意:構音障害が発語の運動障害であるのに対し、錯語は言語内容(語彙や音韻)の障害であり、失語症の一症状です。
- 5. 嗄声は、声帯の機能異常によって声がかすれたり、しわがれたり、かれたりする声質の変化を指します。発音器官の運動機能の障害による「ろれつが回らない」状態や、言葉の明瞭さの問題とは直接異なります。正しくは:声帯の機能異常により、声がかすれたり、しわがれたりすること選びやすい理由:発話に関連する症状であり、広義の「話しにくさ」として捉えると選びやすいですが、嗄声は声の質の変化であり、発音の正確さの問題ではありません。混同注意:構音障害は発音運動の障害である一方、嗄声は声帯の異常による声質の障害です。
国試ポイント
言語障害や発話障害の種類とそれぞれの特徴を正確に理解しているかを問う問題です。特に、発音の運動機能に焦点を当てた症状が提示された場合、それがどの障害に該当するかを見分ける知識が求められます。他の選択肢は、言語内容、流暢性、声質などの異なる側面での障害であり、区別できる必要があります。
混同注意
構音障害と混同しやすいのは、失語症(特にブローカ失語のように発語が困難な場合)、吃音、嗄声です。構音障害は運動性発語障害であり、言葉の理解や構成は保たれている点が失語症と異なります。吃音は発話の流暢性の障害であり、嗄声は声質の変化です。それぞれ障害される機能が異なるため、症状の具体的な描写から正確に判断することが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、まず「何が」「どのように」障害されているかという具体的な症状記述に注目します。「言葉の理解・構成(意味や文法)」、「言葉を話すための運動(発音)」、「言葉の流暢性(リズム)」、「声の質(声帯)」のどの側面が問題となっているかを区別することで、適切な障害の種類を選択できます。
関連知識
構音障害の原因疾患(脳血管障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺など)、失語症の種類(ブローカ失語、ウェルニッケ失語、全失語、伝導失語、超皮質性失語など)とそれぞれの症状、嚥下障害との合併の可能性についても理解しておくと良いでしょう。看護ケアとしては、意思疎通の補助、嚥下状態の確認、口腔ケアなどが重要になります。