Aさん(男性、26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対してAさんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、Aさんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。 入院中のAさんは、面会や検査等の予定が急に変更になると混乱し、看護師に対して予定を繰り返し確認することがあった。このときのAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
混乱しやすい患者さんに対し、文字や図を用いることで情報を視覚的に提示し、理解を助け、安心感を提供することは、不安からくる確認行動の軽減に繋がる適切なコミュニケーション方法です。これは、患者の認知機能や精神状態に配慮した看護実践の一例です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。情報が変更になった際に、視覚的な補助(文字や図)を用いることで、Aさんの理解を助け、混乱を軽減し、不安からくる繰り返しの確認行動を減らすことができます。これは、具体的な情報提供と不安の軽減につながる適切な対応です。
- 2. Aさんは混乱しており、不安から繰り返し確認しています。この状況で理由を尋ねると、Aさんをさらに問い詰める形になり、不安や混乱を増幅させる可能性があります。正しくは:Aさんの不安な気持ちに寄り添い、まずは情報提供の方法を工夫するなどして、安心できる環境を整えるべきです。原因を探るのはその後の段階になります。選びやすい理由:一見すると、患者の行動の背景を理解しようとする姿勢に見えますが、この状況では直接的な質問は適切ではありません。混同注意:患者の訴えの傾聴と、不安状態での問い詰めを混同しやすいです。傾聴は共感を伴いますが、問い詰めは患者に負担をかけます。
- 3. Aさんは予定変更で混乱しやすい状況にあり、複数の情報を一度に与えられると、さらに処理しきれず混乱が増大する可能性があります。シンプルな情報を一つずつ伝えることが望ましいです。正しくは:情報は必要最小限に絞り、一つずつ、ゆっくりと、分かりやすい言葉で伝えるべきです。選びやすい理由:効率的に情報を伝えようとする意図があるかもしれませんが、患者の理解度や精神状態を考慮しないと逆効果です。混同注意:情報提供の効率性と、患者の理解度を考慮した情報提供を混同しやすいです。
- 4. Aさんは予定変更によって混乱している状態であり、自分で状況を考えて行動することが難しい状況です。このような説明は、Aさんを責めることになり、不必要なストレスを与え、看護師への信頼感を損なう可能性があります。正しくは:混乱している患者に対しては、状況を理解し、不安を軽減するための具体的なサポートや支援を提供することが看護師の役割です。選びやすい理由:患者の自立を促すように見えるかもしれませんが、現在のAさんの状態を考えると、プレッシャーを与えることになります。混同注意:患者の自立支援と、現在の病状や精神状態を無視した要求を混同しやすいです。
国試ポイント
高齢者や認知機能が低下している可能性のある患者、または環境変化に敏感な患者へのコミュニケーション方法が問われています。特に、不安や混乱が見られる際の具体的かつ分かりやすい情報提供の重要性がポイントです。
混同注意
不安な患者への傾聴と、問い詰めるような質問、効率優先の情報提供と患者の理解度を考慮した情報提供、患者の自立支援と病状を無視した自己判断の要求を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、患者の混乱や不安の原因を特定し、それに対して最も具体的で安心感を与える情報提供や環境調整の選択肢が正答になる傾向があります。患者の尊厳を尊重し、負担をかけないコミュニケーションを重視してください。
関連知識
認知症高齢者への看護、精神的に不安定な患者へのコミュニケーション技術、入院環境の変化が患者に与える影響、不安の軽減策。