Aさん(男性、26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対してAさんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、Aさんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。 入院後1か月、Aさんは十分な休養が得られた。退院後の職場復帰にあたり、Aさんから「仕事がうまくいかないと、すごく混乱して落ち着かなくなってしまう。そうなった時はどうしたら良いか」と看護師に相談があった。Aさんへの助言で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
仕事中に混乱やストレスを感じた際、一時的にその場を離れて静かな場所で一人になることは、自己調整のための有効な対処法です。環境を変えることで、感情を落ち着かせ、冷静さを取り戻し、状況を客観的に見つめ直す時間を作ることができます。これは、精神的な安定を図るための基本的なセルフケアの一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 他者の視点を想像させることは、Aさんの混乱をさらに深め、自己肯定感を低下させる可能性があります。この状況で優先すべきは、Aさん自身の対処法を見つけることです。正しくは:Aさん自身の内面的な対処メカニズムや感情の調整に焦点を当てるべきです。選びやすい理由:職場の人間関係を考慮することは大切だと感じるため、一見すると良いアドバイスのように思えるかもしれません。混同注意:共感的なコミュニケーションと、問題解決に向けた具体的な行動の助言を混同しやすいです。
- 2. 混乱している状況で多くの意見を聞くと、情報過多になり、かえってAさんの混乱を増長させる可能性があります。対処法は自分で見つけるか、信頼できる少数の意見を参考にすべきです。正しくは:信頼できる特定の人(例:上司、メンター、看護師)に相談し、具体的な解決策を一緒に考えることを促すべきです。選びやすい理由:困った時に他者に相談するのは良いことだという一般的な考え方から、選びやすいかもしれません。混同注意:サポートを求めることと、無闇に多数の意見を取り入れることを混同しやすいです。
- 3. 混乱している最中に原因を周囲に説明することは、Aさんにとって負担が大きく、また状況を悪化させる可能性もあります。まずはAさん自身が落ち着くことが優先です。また、すべての原因を周囲に説明する必要があるわけではありません。正しくは:まずはAさん自身が落ち着くための対処法を実践し、その後、必要であれば、信頼できる人に状況を簡潔に伝えることを検討するよう促すべきです。選びやすい理由:原因を説明することで理解が得られると考えるため、有効な手段に思えるかもしれません。混同注意:自己開示の重要性と、緊急時の自己管理の優先順位を混同しやすいです。
- 4. 正解。混乱やストレスを感じた際、一時的にその場を離れて静かな場所で一人になることは、感情の鎮静化や冷静さを取り戻すために非常に有効な対処法です。物理的に環境を変えることで、思考を整理しやすくなります。正しくは:正しい選択肢のため、修正は不要です。選びやすい理由:シンプルですが、自己管理の基本的なテクニックであり、即効性があるため選択しやすいです。混同注意:他の選択肢と異なり、Aさん自身に焦点を当てた、具体的かつ実行可能な行動であるため、迷うことは少ないでしょう。
国試ポイント
精神的な不調を抱える患者(または一度回復した患者)が社会復帰するにあたり、ストレス対処法や自己管理について看護師がどのような助言をすべきか、具体的な対応を問う問題です。特に、パニックや混乱状態における即時的な自己対処法が重要視されます。
混同注意
他者とのコミュニケーションや相談を促す選択肢と迷う可能性がありますが、混乱状態にある本人がまず自己を落ち着かせることが最優先であることを理解しているかが問われます。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず『本人がすぐにできる具体的な対処法』『本人の感情を安定させることを最優先する助言』が選択肢にあるかを確認します。次に、その対処法が『現実的で実行可能か』『状況を悪化させないか』を評価します。
関連知識
ストレスコーピング、セルフモニタリング、リラクセーション法、環境調整、精神科リハビリテーション、復職支援。