Aさん(男性、26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対してAさんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、Aさんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。 看護師が入院時に聴取する情報で優先度が高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
入院時に看護師が優先的に聴取すべき情報は、患者の現在の病態、症状の経過、入院に至る経緯、そして今後の治療や看護ケア計画に直接関連する情報です。過去1ヶ月間の生活状況には、食事、睡眠、排泄、活動量、服薬状況、飲酒・喫煙などの生活習慣、症状の出現や変化の状況、心理状態の変化など、患者の現在の健康状態を理解し、適切な看護診断とケア計画を立てるために不可欠な情報が多く含まれています。これにより、疾患の背景や増悪因子を特定し、入院中の合併症予防や治療効果の向上に繋がるアセスメントを行うことができます。他の選択肢は患者の心理社会的な側面や社会的な背景に関する情報であり、重要ではありますが、入院時の初期アセスメントにおける優先度は「現在の健康状態と治療への影響」を把握する情報よりも低くなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 業務量の変化は患者のストレス要因となりえますが、入院時の情報としては緊急性や直接的な影響が低く、優先度は高くありません。正しくは:入院中の治療計画や安全管理に直結する情報を優先します。選びやすい理由:ストレスが病状に影響することがあるため、関連情報として重要に感じるかもしれませんが、入院初期の緊急性はありません。混同注意:心理社会的側面全般の重要性と混同しやすいですが、優先順位が異なります。
- 2. 職場での人間関係も患者の精神的な健康に影響を与える可能性がありますが、入院初期に最も優先して聴取する情報ではありません。治療計画や身体状況への直接的な影響は低いと考えられます。正しくは:入院中のケアに直接的に関わる情報や、退院後の生活を見据えた情報が優先されます。選びやすい理由:精神的なストレスが病気に影響するため、重要な情報だと誤解しやすいです。混同注意:社会的なサポート体制やストレス要因の確認と混同しやすいですが、入院初期の優先順位は低いです。
- 3. 正解。過去1ヶ月間の生活状況には、食事、睡眠、排泄、運動、服薬状況、症状の変化など、現在の病状や入院に至る経緯に直接関係する情報が含まれるため、治療計画や看護ケアを立案する上で極めて優先度が高いです。特に、症状の発現や悪化の引き金、セルフケア能力、生活習慣病の管理状況などを把握できます。
- 4. 無断欠勤に対する親の反応は、患者の社会生活や家族関係の一端を示す情報ではありますが、入院時の初期アセスメントにおいて、現在の病態や治療計画に直接的に影響する優先度の高い情報とは言えません。正しくは:患者の現在の身体的・精神的な状態や、治療に直結する生活状況に関する情報を優先します。選びやすい理由:患者の心理的側面や家族関係を把握する上で重要だと感じるかもしれませんが、入院初期の優先順位は低いです。混同注意:家族支援や社会生活の評価と混同しやすいですが、入院時のアセスメントでは緊急度や治療への関連性を考慮します。
国試ポイント
この問題は、看護過程における情報収集の重要性と優先順位を理解しているかを問うものです。特に、入院時という限られた時間の中で、最も臨床的に重要で、かつ看護計画の立案に直結する情報を見極める能力が求められます。患者の現在の状態や病状の背景を理解するために必要な生活状況に関する情報が、身体的・精神的なアセスメントの基盤となることを認識しておく必要があります。
混同注意
患者の全体像を捉える上で心理社会的側面も重要であるという認識と、緊急性の高い情報収集の優先順位を混同しやすいです。すべての情報は重要ですが、特に「入院時」という文脈では、治療や身体状況への影響が直接的な情報が優先されます。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず「現在の患者の病態や治療に直接関連するか」「安全管理に直結するか」という視点で各選択肢の情報を評価します。次に、その情報が今後の看護計画立案にどの程度影響するかを判断します。
関連知識
・看護過程(アセスメント、看護診断、計画、実施、評価)の各段階の理解 ・ゴードンの11機能的健康パターン ・基本的生活習慣の把握の重要性 ・入院時オリエンテーションと情報収集の目的