老年期の身体機能の変化で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
高齢期には肝機能や腎機能が低下するため、薬物の代謝速度が遅くなり、体内での滞留時間が長くなります。これは薬物の効果の増強や副作用のリスクを高める要因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 高齢期になるとインスリンの感受性が低下し、糖質代謝能力が低下するため、耐糖能は一般的に低下します。そのため、高まるという記述は誤りです。正しくは:糖質を処理する能力は低下する。選びやすい理由:一見すると健康維持のための身体機能向上と捉えがちだが、生理的な老化現象として耐糖能は低下する。混同注意:耐糖能と代謝能力の関連性。
- 2. 高齢期には腎臓の機能が低下し、腎血流量の減少や尿細管機能の低下により、尿を濃縮する能力(尿濃縮力)は低下します。増進するという記述は誤りです。正しくは:尿を濃縮する機能は減退する。選びやすい理由:腎機能が維持されている限り濃縮力も保たれると誤解しやすいが、加齢に伴い生理的に低下する。混同注意:水分摂取量と尿濃縮力の関係。
- 3. 正解。高齢期には肝臓の血流量減少、肝臓の代謝酵素活性の低下、腎機能の低下などにより、薬物の体内での代謝や排泄が遅延します。そのため、薬物の作用が長く続いたり、体内に蓄積しやすくなったりします。正しくは:薬物の代謝にかかる時間は長くなる。選びやすい理由:若い頃と変わらない、あるいは少し早くなると誤解する可能性。混同注意:薬物の吸収、分布、代謝、排泄(ADME)の各段階での変化。
- 4. 高齢期には肺の弾力性低下や胸郭の硬化により、肺の残気量(呼出した後に肺に残る空気の量)は増加する傾向にあります。減るという記述は誤りです。正しくは:肺に残る空気の量は増える。選びやすい理由:肺活量や呼吸機能全体の低下から、残気量も減少すると考えがちだが逆である。混同注意:肺活量、1秒量、残気量などの呼吸機能指標の定義と加齢による変化。
国試ポイント
老年期の身体生理的変化に関する基礎知識が問われています。特に、主要臓器の機能変化(肝臓、腎臓、呼吸器、内分泌系)が薬物動態や代謝にどう影響するかを理解しているかが重要です。
混同注意
老年期の身体機能変化は多岐にわたるため、個々の機能低下と代償機能、あるいは見た目の健康状態との乖離で判断を迷いやすい。特に、耐糖能低下と糖尿病、腎機能低下と尿濃縮力、肺機能の変化(肺活量、残気量)は混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
この知識を基に、高齢者に対する薬物投与時の注意点や、生活指導における配慮点(例:水分摂取、栄養管理)を判断できるようになることが求められます。
関連知識
老年期の薬物動態(ADME)の変化。腎臓の加齢変化と関連疾患。呼吸器系の加齢変化と関連疾患。内分泌系の加齢変化(特に糖代謝)。