車椅子での座位の姿勢(別冊No. 5)を別に示す。このような姿勢を長時間続けることで最も褥瘡が発生しやすい部位はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下図の座位姿勢では、体が左側に大きく傾いているため、左側の坐骨結節に体重が集中し、持続的な圧迫とせん断力が加わることになります。坐骨結節は骨突出部であり、このような不適切な姿勢が長時間続くと、褥瘡発生のリスクが最も高まります。
選択肢ごとの解説
- 1. 肘関節部は褥瘡の好発部位の一つですが、下図の姿勢では体重の負荷が直接かかる可能性は低く、最も発生しやすい部位とは言えません。肘関節部への圧迫は、主に腕を車椅子の肘掛けに強く押し付けていたり、長時間の臥床姿勢などで起こりえます。正しくは:この姿勢では、主に骨突出部への垂直圧迫やずれ、摩擦が褥瘡発生に影響します。肘は直接的な圧迫を受けにくい。選びやすい理由:肘も骨突出部であり、褥瘡発生部位として知られているため。混同注意:臥床時の仙骨部や踵骨部などの褥瘡好発部位と、車椅子座位時の好発部位が混同されやすい。
- 2. 大転子部は褥瘡の好発部位の一つですが、下図の姿勢では、身体が左側に傾いているため、右大転子部への直接的かつ持続的な強い圧迫は、左坐骨結節ほどではありません。身体の傾きにより、右大転子部への圧迫は比較的軽減されていると考えられます。正しくは:下図のように身体が大きく傾いている場合、主に傾いている側の坐骨結節部により強い圧力がかかります。右大転子部への圧迫は相対的に少ない。選びやすい理由:大転子も骨突出部で、仰臥位や側臥位で褥瘡好発部位として知られているため。混同注意:一般的な褥瘡の好発部位は知っていても、特定の姿勢における荷重部位の変化を読み取れないと誤答しやすい。
- 3. 正解。下図の車椅子での座位姿勢では、上半身が左側に大きく傾いています。これにより、体圧が主に左側の坐骨結節部に集中し、持続的な圧迫とずれが生じやすくなります。坐骨結節はもともと骨突出部であり、このような姿勢では特に褥瘡発生のリスクが最も高まります。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:適切な姿勢で座っている場合と、傾いた姿勢での荷重部位の違いを理解していないと迷う可能性がある。混同注意:車椅子座位における殿部の圧分散の重要性と、不良姿勢がもたらす影響が十分に理解されていないと、一般的な褥瘡好発部位の知識と混同される。
- 4. 膝関節の外側部は褥瘡の好発部位としては一般的ではありません。車椅子での座位姿勢では、膝関節外側部に持続的かつ強い圧迫がかかることは稀です。膝関節の圧迫は、主に足台や車椅子のフレームとの接触により発生しえますが、この姿勢で最もリスクが高い部位とは言えません。正しくは:膝関節部は、主に摩擦や外部からの圧力で皮膚損傷を起こす可能性はあるが、褥瘡として最も発生しやすい部位ではない。この姿勢では、体圧が集中する骨突出部に着目すべき。選びやすい理由:骨突出部である膝蓋骨やその周囲が褥瘡の好発部位として認識されることがあるため。混同注意:褥瘡と、摩擦や圧迫による一般的な皮膚損傷との違いが混同されやすい。
- 5. 足関節外果部も骨突出部であり、褥瘡の好発部位の一つですが、下図の座位姿勢では、この部位に直接的かつ持続的な強い圧迫が加わることは少ないです。足関節外果部に褥瘡ができるのは、主に臥床時や足がフットレストに強く当たる場合、または装具などによる圧迫が原因となることが多いです。正しくは:足関節外果部への褥瘡発生リスクは、この座位姿勢では最も高いとは言えない。体幹の傾きにより、より大きな圧力がかかる部位に注目すべき。選びやすい理由:足関節外果部も骨突出部であるため、褥瘡が発生しやすい部位として知られているため。混同注意:臥床時の褥瘡好発部位の知識と、車椅子での座位姿勢における体圧分布の理解が混同されやすい。
国試ポイント
車椅子での不適切な座位姿勢における褥瘡の好発部位を理解しているか問う問題です。単に褥瘡の好発部位を知っているだけでなく、特定の姿勢による体圧分布の変化を考慮できるかが重要になります。
混同注意
一般的な褥瘡の好発部位(仙骨部、踵骨部、大転子部など)は多くありますが、本問では『車椅子での座位の姿勢』、さらに『傾いた姿勢』という条件が加わります。この条件により、最もリスクが高い部位が変化することを理解していないと、一般的な知識に引きずられて誤答しやすくなります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず『患者の姿勢』を正確に把握し、その姿勢で『どこに体重や圧力が集中するか』を特定できるかどうかが鍵となります。特に、骨突出部と、持続的な圧迫・ずれ・摩擦が生じる部位に注目して判断する訓練が必要です。
関連知識
褥瘡の発生要因(圧迫、ずれ、摩擦、湿潤など)、体位変換の重要性、体圧分散寝具やクッションの選択、不良姿勢が身体に与える影響、褥瘡の段階評価とケア。