老年期の心理社会的葛藤を「統合」対「絶望」と表現した人物はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
エリクソンは、人の一生を8つの心理社会的発達段階に分類し、各段階で克服すべき主要な発達課題と危機を提唱しました。老年期(成人後期)は第8段階にあたり、この時期の主要な課題は「自我の統合 vs 絶望」とされています。これは、これまでの人生を振り返り、その全体を受け入れ、満足感を得ることで自我の統合が達成されるか、あるいは後悔や無力感から絶望に陥るか、という葛藤を表しています。
選択肢ごとの解説
- 1. ペックは、エリクソンの老年期の発達課題をさらに具体化し、3つの心理的調整課題(自己分化対職業役割への没頭、身体的超越対身体的没頭、自己超越対自己没頭)を提唱しました。正しくは:ペックは、エリクソンの発達段階理論を老年期に特化させ、具体的な心理的調整課題を示しました。選びやすい理由:老年期の心理発達理論を提唱した人物として混同しやすいです。混同注意:エリクソンやバトラーなど、老年期の発達理論を扱った他の研究者と混同しやすいです。
- 2. バトラーは、老年期に人生を回顧し、意味づけを行う「ライフレビュー(人生回顧)」の重要性を提唱した人物です。正しくは:バトラーは、老年期のライフレビューの概念を提唱しました。選びやすい理由:老年期の心理学で有名な人物であり、エリクソンと混同する可能性があります。混同注意:エリクソンの発達段階理論と、バトラーのライフレビューの概念とを混同しやすいです。
- 3. 正解。エリクソンは、人の一生を8つの心理社会的発達段階に分け、それぞれの段階で中心的な発達課題とそれに対する危機(葛藤)を提唱しました。最終段階である老年期(成人後期)の課題を「統合対絶望」と表現しました。これは、過去の人生を肯定的に受け入れ、意味を見出すことで「統合」に至るか、後悔や未練に苛まれて「絶望」に陥るかという葛藤を指します。選びやすい理由:エリクソンの名前と、彼の提唱した発達課題が直接的に結びついているため、理解していれば選びやすい選択肢です。混同注意:エリクソンの8段階発達理論を正しく理解しているかどうかが問われます。他の老年期理論の提唱者と混同しないことが重要です。
- 4. ハヴィガーストは、各発達段階で達成すべき「発達課題」を提唱しましたが、エリクソンのような心理社会的葛藤の形ではなく、社会や文化の中で習得すべき行動やスキルに焦点を当てました。老年期については、「退職と収入の減少への適応」「身体能力の低下への適応」などを挙げています。正しくは:ハヴィガーストは、各発達段階における具体的な「発達課題」を示しました。選びやすい理由:エリクソンと同様に「発達課題」という言葉を使うため、混同しやすいです。混同注意:エリクソンが提唱した心理社会的発達段階と、ハヴィガーストが提唱した発達課題の具体的な内容とを混同しやすいです。
国試ポイント
老年期の心理学的発達理論に関する基礎知識、特にエリクソンの発達段階理論と各段階における発達課題を正確に理解しているかが問われます。他の主要な理論提唱者との違いも把握しておく必要があります。
混同注意
老年期の心理学では、エリクソンのほか、ペック(エリクソン理論の深化)、バトラー(ライフレビュー)、ハヴィガースト(具体的な発達課題)など、複数の研究者が重要な理論を提唱しています。それぞれの提唱者がどの概念を主張したのかを正確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合は、エリクソン以外の研究者(ペック、バトラー、ハヴィガーストなど)が提唱した老年期の具体的な心理社会的課題や概念について問われる可能性があります。それぞれの提唱者の名前と、彼らが提唱した概念のペアを正確に記憶しておくことが重要です。
関連知識
エリクソンの発達段階理論は、青年期の「同一性 vs 同一性拡散」など、他の段階の発達課題も重要です。また、老年看護においては、これらの理論を理解することで、高齢者の心理状態をアセスメントし、適切なケアを提供するための基礎となります。例えば、人生回顧療法などに応用されます。