Aさん(35歳、男性)。身長175 cm、体重74 kgである。1か月前から腰痛と右下肢のしびれが続くため受診した。腰椎椎間板ヘルニアと診断され、保存的療法で経過をみることになった。Aさんへの生活指導として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板への圧迫が症状悪化の要因となるため、椎間板内圧が上昇しやすい前かがみの姿勢は、ヘルニアの脱出を促進し神経根圧迫を増強させる可能性があるため控えるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. AさんのBMIは24.2(74kg / (1.75m)^2)であり、正常範囲(18.5〜24.9)にあります。過度な肥満ではないため、直ちに体重を減らすことが最優先の指導とは言えません。しかし、肥満は腰に負担をかける要因であるため、体重管理は長期的な観点から重要ですが、この状況での「最も適切な」生活指導とは異なります。正しくは:BMIが25以上であれば「体重を減らしましょう」が適切な指導になります。今回は正常範囲内なので、「適正体重を維持しましょう」といった表現の方が適切です。選びやすい理由:肥満が腰痛の危険因子であるという一般的な知識から選びやすいですが、Aさんは現状で肥満ではありません。混同注意:肥満による腰痛との区別。Aさんは正常体重であるため、直接的な原因ではありません。
- 2. 急性期の腰痛や炎症が強い場合は冷罨法が効果的ですが、数ヶ月続く慢性的な腰痛で、血行促進や筋肉の弛緩が目的であれば温罨法が推奨されることもあります。また、冷罨法が必ずしも「最も効果的」とは限りません。一概に冷罨法が適切とは言えません。正しくは:炎症が強い急性期であれば「冷罨法も選択肢の一つです」と指導しますが、慢性期であれば血行改善のため温罨法を検討することもあります。選びやすい理由:急性期の炎症や痛みを抑える目的で冷罨法が選択されることがあるため、有効な手段の一つとして選びやすいです。混同注意:急性期の炎症を伴う腰痛の対処法と、慢性期の腰痛の対処法。
- 3. 正解。前かがみの姿勢は、腰椎椎間板に前方剪断力と圧縮力を増大させ、椎間板内圧を上昇させます。これにより、椎間板ヘルニアの脱出が促進され、神経根への圧迫が増強し、症状が悪化する可能性があります。したがって、前かがみの姿勢を控えることは、症状の悪化予防のために最も重要な生活指導の一つです。選びやすい理由:腰椎椎間板ヘルニアにおける椎間板内圧と姿勢の関係を正しく理解していれば、この選択肢が最も適切であると判断できます。混同注意:特に混同するものはありませんが、腰椎の生理的弯曲を保つ重要性に関連する知識です。
- 4. 腰の下に枕を入れると腰椎の過伸展を招き、腰椎椎間関節への負担が増えたり、ヘルニアの症状を悪化させる可能性があります。特に椎間板ヘルニアの場合、腰椎の不適切な伸展は症状を増悪させる危険性があります。理想的には、仰臥位で寝る場合は膝の下に枕を入れ、腰椎の生理的弯曲を保つようにします。正しくは:「仰向けで寝るときは、膝の下に枕を入れて腰の負担を減らしましょう」が適切です。横向きで寝る場合は、膝を軽く曲げた姿勢が良いとされます。選びやすい理由:腰痛時に腰を支えるというイメージから、一見正しいように感じられますが、不適切な姿勢を助長する可能性があります。混同注意:腰椎の生理的弯曲を保つことの重要性と、不適切な枕の使用による腰への負担増大。
国試ポイント
腰椎椎間板ヘルニア患者への生活指導の基本原則を理解すること。特に椎間板内圧を上昇させる動作の回避。
混同注意
腰痛の一般的な対処法と、腰椎椎間板ヘルニア特有の病態に応じた指導との区別。
次に同じ論点が出たら
腰椎椎間板ヘルニアの生活指導を問う問題が出た場合は、椎間板内圧を上昇させる姿勢や動作を回避する選択肢が最も適切であると判断する。
関連知識
腰椎椎間板ヘルニアにおける椎間板内圧と姿勢の関係(立位より座位、特に前かがみで高くなる)。急性期には安静が重要であること。慢性期では体幹筋の強化も有効であること。