Aちゃん(1歳7か月、女児)は先天性水頭症のため脳室-腹腔〈V-P〉シャント造設術を受けて退院した。Aちゃんは歩行障害があり、母親が1人で育てている。退院後、訪問看護師が訪問すると、Aちゃんの母親は「子どもが泣くとイライラします。この先Aを育てていく自信がなく、経済的にも生活していけるか不安です」と話した。このとき、訪問看護師が母親に勧める相談先で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aちゃんの母親は、子どもの医療的ケアを伴う育児による精神的負担(イライラ、自信のなさ)と経済的な不安を抱えています。保健センターは、地域における母子保健・精神保健の拠点であり、育児相談、発達相談、精神保健相談、必要に応じて医療費助成制度や障害福祉サービスに関する情報提供や申請支援、専門機関への紹介など、複合的な問題に対して包括的に対応できるため、最も適切な相談先です。
選択肢ごとの解説
- 1. 社会福祉協議会は、地域住民の福祉向上のための相談や支援を行いますが、経済的な不安や育児の精神的負担に対する専門的な相談や保健指導、具体的な制度利用支援については、保健センターの方がより包括的に対応できます。特に医療的ケアや発達の課題を抱える子どもの育児支援においては、保健センターが中心的な役割を担います。正しくは:経済的困窮への相談や、特定の福祉サービス利用支援については有効ですが、この事例では母親の育児負担や精神的ストレス、子どもの医療的ケアに関する総合的な支援が求められるため、保健センターの方が広範な対応が期待できます。選びやすい理由:経済的な不安に関する相談先として適切に見えますが、育児ストレスや子どもの発達に関する総合的な支援が不足します。混同注意:経済的な問題解決の窓口として思いつきやすいが、医療や育児の専門的な視点からの支援は限定的です。
- 2. 正解。保健センターは、地域住民の健康増進や疾病予防、育児支援などを総合的に行う拠点です。子どもの発達相談、育児に関する心理的支援、身体障害者手帳の申請などの福祉制度の情報提供、必要に応じて専門機関への紹介など、母親が抱える多様な問題(育児ストレス、経済的不安、子どもの医療ケアに関する疑問)に対して、包括的かつ専門的な支援を提供できます。正しくは:記述の通り、最も適切な選択肢です。選びやすい理由:保健センターは地域の健康・育児支援の中心的役割を担うため、多様なニーズに対応できることから、この状況に最も適しています。混同注意:保健センターは予防接種や乳幼児健診のイメージが強いかもしれませんが、育児相談や発達相談、精神保健相談など多岐にわたる支援を提供しています。
- 3. 障害児の子育てグループは、同じ境遇の保護者同士が情報交換や精神的な支え合いを行う場として非常に有益ですが、母親の訴える「イライラ」や「自信のなさ」といった精神的負担に対する専門的なカウンセリングや、経済的な不安への具体的な解決策を提供する機関ではありません。また、子どもの医療的ケアに関する専門的な相談にも対応できません。まずは専門機関に相談し、その後で情報交換の場としてグループを活用するのが適切です。正しくは:情報共有や精神的支援の場としては有用ですが、現状の母親が抱える喫緊の課題(精神的ストレス、経済的困窮、医療的ケアに関する不安)に対する専門的な支援を期待する窓口としては不十分です。選びやすい理由:同じ境遇の保護者との交流は心理的に助けになると思われがちですが、専門的な介入や具体的な制度支援は望めません。混同注意:ピアサポートの重要性は理解できるが、緊急性の高い精神的・経済的・医療的な課題解決には直接寄与しない。
- 4. 入院していた病院の医療相談室は、退院後の医療や福祉サービスに関する相談に応じることもありますが、退院後の訪問看護師による家庭訪問時に判明した「育児の精神的負担」や「経済的な不安」といった、地域での生活全体に関わる複合的な問題に対しては、地域の保健センターの方がより広範で継続的な支援を提供できます。病院の相談室は主に病院内での治療や退院調整に関する相談が中心です。正しくは:病院の医療相談室は退院後の医療的ケアに関する情報提供や医療費に関する相談には応じますが、地域での継続的な育児支援や母親の精神的ケア、地域での生活全体に関わる経済的支援については、保健センターがより適切な窓口です。選びやすい理由:Aちゃんの病気に関する相談先として適切に見えますが、母親の精神的・経済的な問題まで含めた総合的な地域生活支援は専門外です。混同注意:医療的な問題解決には適しているが、育児ストレスや経済的な問題は病院の守備範囲外と誤解されがちだが、相談は可能であるものの、地域に根差した保健センターの方がより網羅的な支援を提供できるという点で優先度は低い。
国試ポイント
本設問は、退院後の在宅医療を必要とする子どもを持つ家庭に対する訪問看護師の役割と、地域における多職種・多機関連携の重要性を問うものです。特に、母親が抱える複合的な問題を理解し、それぞれの問題に適した適切な社会資源を提示できる能力が求められます。保健センターは、このような包括的な支援の中心的役割を担うことを理解しているかが重要です。
混同注意
社会福祉協議会は経済的な問題、障害児の子育てグループはピアサポート、病院の医療相談室は医療的な問題解決という点でそれぞれ一部のニーズに応える可能性がありますが、母親が抱える複数の課題を統合的に解決するための窓口としては保健センターが最も適しています。それぞれの機関の役割と機能の範囲を正確に理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
母親の経済的、精神的、育児に関する複合的なニーズをアセスメントし、地域の利用可能な社会資源の中から、最も包括的かつ継続的な支援が期待できる機関を判断する。
関連知識
地域における母子保健活動、障害児支援に関する制度(身体障害者手帳、医療費助成制度など)、精神保健福祉サービス、訪問看護の役割、多職種連携(保健師、社会福祉士、医療ソーシャルワーカーなど)。