Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3°C、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84 mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。 Aさんの病室環境で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ベッドの高さを適切に調整することは、患者が安全にベッドサイドに座ったり、立ち上がったりするための基本であり、転倒予防に直結します。膝関節が90度になる高さは、足底がしっかりと床につき、安定した姿勢を保つ上で理想的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者がベッドサイドに座る際、足底が床にしっかりとつき、膝関節が90度程度に曲がる高さが、安定した座位姿勢を保ち、転倒予防や安全な起立・移乗動作を支援するために適切です。
- 2. 点滴スタンドをベッドフレームに固定すると、患者が体位変換や離床する際に点滴ルートが引っ張られたり、スタンドが転倒したりする危険性があります。また、移動の妨げになることもあります。正しくは:点滴スタンドは通常、ベッドサイドの床に設置し、必要に応じて移動できるようにします。ベッド移動時には点滴スタンドも一緒に移動させるか、一時的に患者に持ってもらうなど、ルートの安全に配慮します。選びやすい理由:一見、固定することで転倒防止になりそうに見えるかもしれませんが、患者の動きやすさやルートの安全性を考えると不適切です。混同注意:何かを固定することの安全性(例:車椅子ブレーキ)と、点滴スタンドの適切な管理を混同しやすいかもしれません。
- 3. ポータブルトイレの設置は、患者のADL(日常生活動作)や状態(例:頻尿、移動困難、夜間転倒リスクなど)に応じて検討されるべきであり、全ての患者の病室に必ず設置する必要はありません。不必要な設置は、病室内のスペースを圧迫し、転倒のリスクを高めることもあります。正しくは:ポータブルトイレは、患者の排泄状況、移動能力、転倒リスクなどを評価した上で、必要と判断された場合に設置を検討します。患者がトイレまで移動できる場合は、共用トイレの利用が推奨されます。選びやすい理由:排泄介助が必要な患者には便利であるため、良い選択肢に感じられます。混同注意:排泄援助の必要性と、ポータブルトイレの普遍的な設置を混同しやすいでしょう。
- 4. 離床センサーの設置は、患者の転倒リスク評価に基づいて決定されるべきであり、すべての患者の病室に一律に設置するものではありません。不要な設置は、患者のプライバシーを侵害する可能性や、センサーによる過剰な拘束感を与える可能性があります。正しくは:離床センサーは、転倒リスクが高い患者(例:認知機能低下、ふらつき、夜間徘徊など)に対して、看護師の判断と医師の指示に基づいて選択的に設置します。患者の状態をアセスメントし、個別に必要性を判断することが重要です。選びやすい理由:転倒予防は重要であるため、一見良い対策のように思えます。混同注意:転倒予防の重要性と、個別性の原則を混同しやすいでしょう。すべての患者に有効な対策と誤解しやすいです。
国試ポイント
患者の安全確保のための環境整備、特に転倒予防の基本原則と個別性を理解しているかが問われています。一般的な対策ではなく、患者の身体状況に合わせた具体的な環境調整の知識が求められます。
混同注意
一般的な安全対策と、個別のアセスメントに基づいた対策の区別。特に転倒予防に関する様々な介入策の適用範囲を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出たら、患者の身体機能、認知機能、疾患による制限、活動レベルなどを具体的にイメージし、それぞれの環境整備が「なぜ」「誰に」「どのように」適切なのかを判断する。
関連知識
患者の転倒アセスメントスケール(例:Morse Fall Scale)、身体拘束の最小化、ADL自立度に応じた環境調整、ユニバーサルデザインの考え方。