Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で2型糖尿病と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。 Aさんは、緊急血液透析によって全身状態が改善した。その後、シャント造設術を受け、週3回の血液透析となり、退院後は職場に近いクリニックで維持血液透析を受けることが決定した。Aさんから、退院後の生活について「仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です」と発言があった。維持血液透析により身体障害者手帳を取得したAさんが利用できる医療費助成制度はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
自立支援医療(更生医療)は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の者が、日常生活や社会生活を円滑に営むために必要な医療(腎臓機能障害に対する人工透析医療など)を受ける際に、医療費の自己負担を軽減する公費負担医療制度です。Aさんは維持血液透析を受けており、身体障害者手帳を取得するため、この制度の適用対象となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 医療扶助は生活保護制度の一部であり、生活困窮者が最低限度の生活を保障するために医療費を給付する制度である。Aさんは職場復帰を考えており、生活保護の対象とは限らないため、この制度は適切ではない。正しくは:医療扶助は生活保護法に基づく医療費助成制度であり、生活保護受給者が医療を必要とする場合に適用される。選びやすい理由:医療費の支払いが困難な場合に適用される制度である点で似ているため。混同注意:自立支援医療や高額療養費制度など、他の医療費助成制度全般。
- 2. 正解。Aさんは維持血液透析を受けており、身体障害者手帳の交付対象となる腎臓機能障害者である。自立支援医療(更生医療)は、身体障害者手帳を所持する18歳以上の者が、その障害を軽減・除去したり、能力を回復させるための医療(人工透析医療など)にかかる費用を助成する制度であるため、本事例に最も適切である。選びやすい理由:最も直接的に身体障害者手帳と関連し、透析医療費の助成を行う制度であるため。混同注意:自立支援医療の育成医療や精神通院医療、高額療養費制度など。
- 3. 訪問看護療養費は、医療保険制度における訪問看護サービスの利用に係る費用であり、医療費助成制度ではない。Aさんは透析治療の医療費の支払いを心配しており、訪問看護の費用についてではない。正しくは:訪問看護療養費は、訪問看護サービスを利用した際に医療保険から給付される費用であり、特定の医療行為に対する医療費助成制度ではない。選びやすい理由:医療費に関する言葉であるため。訪問看護という言葉から、自宅での療養費に関わる制度と誤解しやすいため。混同注意:医療保険制度における給付や公費負担医療制度。
- 4. 「認定疾病に対する医療の給付」という一般的な表現では、特定の医療費助成制度を指すものではない。特定疾病療養受療証(特定疾病に対する高額療養費制度)であれば、人工透析医療も対象となるが、これは「身体障害者手帳を取得した場合に適用される医療費助成制度」という設問の条件と直接結びつかない。あくまで高額療養費制度の一部である。正しくは:この選択肢は特定の医療費助成制度を指すものではない。人工透析患者は特定疾病療養受療証により自己負担上限額が設定されるが、これは高額療養費制度の一種である。選びやすい理由:人工透析が「特定疾病」に該当するため、連想しやすいため。混同注意:特定疾病療養受療証や難病医療費助成制度など、具体的な疾病を対象とする医療費助成制度全般。
国試ポイント
身体障害者手帳に関連する公費負担医療制度(自立支援医療、重度心身障害者医療費助成制度など)の対象疾患と内容を覚える。特に、腎臓機能障害に対する人工透析医療が自立支援医療(更生医療)の対象であることを理解する。
混同注意
自立支援医療には、更生医療、育成医療、精神通院医療の3種類があり、それぞれ対象年齢や疾患が異なる。本事例では身体障害者手帳を所持する18歳以上の腎臓機能障害者であるため、更生医療が該当する。
次に同じ論点が出たら
患者がどのような障害を持ち(身体、精神、難病など)、年齢が何歳で、どの程度の経済的支援を求めているかを確認し、それに合致する医療費助成制度を選択する。
関連知識
自立支援医療は原則1割負担となるが、所得に応じて自己負担上限額が設定されており、自己負担額が軽減される。また、重度心身障害者医療費助成制度など、他の公費負担医療制度との併用や、高額療養費制度との関連も理解しておく。