Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤を自覚した。大学病院で非Hodgkin〈ホジキン〉リンパ腫と診断され化学療法導入目的で入院した。バイタルサイン:体温37.1°C、呼吸数16/分、脈拍84/分、整。身体所見:顔面に浮腫を認める。検査所見:Hb 12.8 g/dL、白血球6,400/μL、総蛋白7.6 g/dL、アルブミン4.1g/dL。胸部造影CT:縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫を認める。 Aさんの顔面の浮腫の原因で考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
上大静脈が圧迫されると、顔面や頸部、上肢からの血液が心臓に戻りにくくなり、静水圧が上昇します。これにより血管内の水分が組織間隙に漏出し、顔面の浮腫として現れます。
選択肢ごとの解説
- 1. 発熱は炎症反応や感染症によるものですが、直接的な顔面浮腫の主要な原因とはなりにくいです。浮腫を伴う場合でも、発熱が直接の原因ではなく、発熱の原因となっている疾患が浮腫を引き起こすことが多いです。正しくは:発熱は脱水や血圧変動を引き起こすことはありますが、通常、顔面浮腫の直接的な原因ではありません。選びやすい理由:発熱は体調不良を示す一般的な症状であり、他の症状と関連付けて考えられやすいため。混同注意:炎症による浮腫と発熱を直接結びつけてしまうこと。
- 2. 貧血は赤血球やヘモグロビンの減少であり、酸素運搬能の低下を引き起こしますが、顔面浮腫の直接的な原因ではありません。重度の貧血では心不全を合併し全身性浮腫を引き起こす可能性はありますが、貧血単独で顔面浮腫を引き起こす機序は乏しいです。正しくは:貧血は顔面蒼白の原因となりますが、浮腫の直接の原因ではありません。選びやすい理由:顔色が悪くなる症状と関連付けられやすいため。また、貧血が進行すると心不全を起こし全身性浮腫を呈するケースがあるため、間接的な関連を想像してしまう。混同注意:顔色の変化(蒼白)と顔面の腫脹を混同すること。
- 3. 低蛋白血症は血漿膠質浸透圧の低下を引き起こし、全身性浮腫の主要な原因となりますが、顔面に限定した浮腫よりも全身性浮腫として現れることが多いです。また、問題文から低蛋白血症を示唆する情報はありません。正しくは:低蛋白血症は血漿膠質浸透圧を低下させ、全身性浮腫を引き起こす主要な原因の一つです。顔面のみの浮腫であれば、局所的な原因を先に考慮します。選びやすい理由:浮腫の主要な原因の一つとして知られているため。特に、全身性浮腫の原因として頻繁に挙げられるため、安易に選択しやすい。混同注意:全身性浮腫と局所性浮腫の原因を混同すること。
- 4. 正解。上大静脈の圧迫により顔面、頸部、上肢からの静脈還流が障害され、静水圧が上昇するため、血管内の水分が組織間隙に漏出し顔面浮腫を引き起こします。これは上大静脈症候群として知られる典型的な症状です。選びやすい理由:直接的な原因と結果の関係が明確であるため。
国試ポイント
浮腫の原因として、静脈の圧迫による静水圧上昇と低蛋白血症による膠質浸透圧低下の機序を理解する。
混同注意
全身性浮腫(心不全、腎不全、肝不全など)と局所性浮腫(静脈圧迫、炎症など)の原因を混同しないように区別する。
次に同じ論点が出たら
顔面の浮腫が局所性か全身性か、また他の症状(呼吸困難、チアノーゼなど)の有無を確認し、静脈圧迫の可能性を検討する。
関連知識
全身性浮腫の原因として、心不全、腎不全、肝不全、甲状腺機能低下症などがある。局所性浮腫の原因としては、リンパ浮腫やアレルギー性浮腫も挙げられる。