高齢者における感覚器の変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
高齢者では、末梢神経や中枢神経の変化により痛覚の感受性が低下し、痛みの閾値が上昇します。また、瞳孔の反応性低下や水晶体・網膜の変化により、暗い場所への順応能力(暗順応)が低下します。聴覚は高音域から低下し、味覚・嗅覚も閾値が上昇し機能が低下するのが一般的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 加齢により、内耳の有毛細胞の変性などから高音域から聴力が徐々に低下する老人性難聴が進行するのが一般的です。正しくは:高音域の聴力が低下する。選びやすい理由:聴力全体が低下するイメージを持つと、高音域のみの言及に惑わされる可能性があります。混同注意:低音域の聴力は比較的保たれやすいという事実と混同する可能性があります。
- 2. 正解。高齢者では、末梢神経の変性や中枢神経の機能低下により、痛みの閾値が上昇し、痛覚の感受性が低下する傾向にあります。そのため、疾患があっても痛みを訴えにくかったり、痛みの程度が実際より軽く感じられたりすることがあります。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:痛みを感じにくくなると、疾患の発見が遅れるリスクがあるという点で、重要な変化です。混同注意:すべての感覚が低下するわけではないため、一概に低下すると誤解しないように注意が必要です。
- 3. 加齢により味蕾の数や機能が減少し、味覚の閾値は上昇します。特に塩味や甘味を感じにくくなる傾向があります。正しくは:味覚の閾値が上昇する。選びやすい理由:味覚が鈍くなる、という現象と、閾値が下がる(少量でも感じる)という表現が逆であるため、混同しやすいです。混同注意:「味を感じにくくなる」という現象と「閾値」の関係性を正しく理解していないと、反対の選択肢を選んでしまう可能性があります。
- 4. 正解。加齢により瞳孔の縮小、水晶体の混濁、網膜の光受容細胞の機能低下などが起こり、暗い場所から明るい場所への順応(明順応)だけでなく、明るい場所から暗い場所への順応(暗順応)も低下します。そのため、薄暗い場所での視認性が悪くなります。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:夜間の転倒リスクや生活上の支障と関連が深く、高齢者の安全確保において重要な視点です。混同注意:視力低下と混同しがちですが、順応能力は光の適応能力を指します。
- 5. 加齢とともに嗅細胞が減少し、嗅覚の閾値が上昇するため、嗅覚は低下する傾向にあります。これにより、食品の腐敗やガス漏れなどの危険を察知しにくくなることがあります。正しくは:嗅覚は低下する。選びやすい理由:比較的、自覚症状が出にくい感覚変化であるため、維持されると誤解しやすいかもしれません。混同注意:個人差があるため、完全に失われるわけではないという事実と、変化がないことを混同する可能性があります。
国試ポイント
高齢者の感覚器の変化は、日常生活における安全や生活の質(QOL)に直結するため、非常に重要な知識です。特に、身体アセスメントや転倒予防、食事指導などに活かされます。各感覚器の具体的な変化とその影響を正確に理解しておく必要があります。
混同注意
各感覚器の変化について、どの能力が「低下」し、どの「閾値」が「上昇」または「低下」するのかを正確に把握することが重要です。特に「閾値」と「感受性」の関係性で混乱しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
これらの感覚器の変化を踏まえ、高齢者の生活環境をどのように調整すべきか、または看護介入としてどのような支援が適切かを判断できるようになることが次のステップです。
関連知識
老人性難聴(高音域の聴力低下)、白内障(水晶体の混濁)、緑内障、加齢黄斑変性など、加齢に伴う感覚器疾患との関連も理解しておくことが望ましいです。また、これら感覚器の変化が高齢者の認知機能、栄養状態、転倒リスク、社会交流などに与える影響についても関連付けて学習すると良いでしょう。