Aちゃん(10歳、女児)は両親と3人で暮らしている。3歳の時に気管支喘息と診断された。6歳までは喘息発作で年に1回は入院していたが、8歳から発作を起こすことはなくなり、定期受診が必要なくなった。ダニとハウスダストに感作がある。 本日Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夜「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。救急外来受診時のバイタルサインは、体温36.6°C、呼吸数36/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93 %であった。Aちゃんの気管支喘息の発作強度はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aちゃんの症状は、口元で聴こえる喘鳴、問診に途切れ途切れにしか答えられない(会話困難)、呼吸数36回/分(年齢から見て頻呼吸)、心拍数120回/分(頻脈)、SpO2 93%(酸素飽和度の低下)といった所見を示しています。これらの所見は、小児気管支喘息の重症度分類において「中発作」の基準を満たしており、特にSpO2が90%台前半であることや、会話困難は中発作の特徴です。症状が夜間に悪化し、息苦しさで眠れないという点も、発作のコントロールが不良であることを示唆しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 小発作は通常、喘鳴はあるものの、会話は普通にでき、SpO2は95%以上、呼吸数や心拍数の増加も軽度な場合を指します。Aちゃんは会話が途切れ途切れでSpO2も93%と低く、呼吸数も頻回であるため、小発作よりも重いと判断されます。正しくは:小発作の主な特徴は、喘鳴があるものの軽度で、SpO2 95%以上、会話が普通にできる状態です。Aちゃんの症状はこれよりも重いです。選びやすい理由:咳と喘鳴があるため、軽い発作と誤解されやすいかもしれません。混同注意:気管支喘息の初期症状や軽度の発作
- 2. 正解。中発作の基準は、呼吸困難が中程度で会話が途切れ途切れ、喘鳴がはっきり聴こえ、SpO2 90~94%、呼吸数・心拍数の増加が顕著(頻呼吸・頻脈)などが挙げられます。Aちゃんの「口元で聴こえる喘鳴がはっきりしており、問診には途切れ途切れにしか答えられませんでした」という会話困難、SpO2 93%、呼吸数36回/分、心拍数120回/分は、これら中発作の診断基準に合致するため、本選択肢が正しいです。選びやすい理由:問題文の複数の症状が中発作の複数の基準に合致するため、正しく判断しやすいです。
- 3. 大発作は、中発作よりさらに重篤な状態を指し、会話は単語しか話せず、SpO2が90%未満、呼吸困難が著しく、チアノーゼが見られることなどがあります。AちゃんのSpO2は93%であり、まだ大発作の基準である90%未満には達していません。また、会話が単語レベルではないため、大発作とは判断されません。正しくは:大発作の主な特徴は、SpO2が90%未満、会話が単語レベル、意識障害やチアノーゼの出現などです。Aちゃんの症状はこれよりも軽度です。選びやすい理由:息苦しさで眠れない、会話が途切れ途切れという症状から、重症だと判断してしまいがちです。しかし、SpO2の値が90%未満ではない点で大発作とは区別されます。混同注意:中発作と大発作の境界線の判断、特にSpO2の具体的な数値
- 4. 呼吸不全は、気管支喘息の最重症型であり、意識障害、呼吸停止寸前、重度のチアノーゼ、換気不全によるPaCO2の上昇などが見られます。Aちゃんは元気がない様子ではあるものの、問診に答えられており、意識障害は認められず、呼吸停止寸前という状態ではありません。そのため、呼吸不全には該当しません。正しくは:呼吸不全の主な特徴は、意識障害、呼吸停止寸前、重度のチアノーゼ、動脈血ガス分析でのPaCO2の上昇などです。Aちゃんの意識レベルは保たれているため、呼吸不全ではありません。選びやすい理由:「息苦しくて眠れない」「元気がない」といった表現から、生命の危機を感じて最も重症な選択肢を選んでしまいやすいかもしれません。混同注意:大発作と呼吸不全の明確な区別、特に意識レベルや動脈血ガス分析の結果
国試ポイント
小児気管支喘息の重症度分類(小発作、中発作、大発作、呼吸不全)の基準を、各症状(呼吸困難、喘鳴、会話、チアノーゼ、SpO2、呼吸数、心拍数など)と関連付けて正確に覚えることが重要です。
混同注意
小児と成人では喘息の重症度分類の基準が一部異なるため、年齢を考慮した判断が必要です。また、喘息発作の重症度と、喘息の長期管理における重症度分類(間欠型、軽症持続型など)は別の概念であることに注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出た場合は、呼吸数、心拍数、SpO2、喘鳴の程度、会話の有無、意識レベル、チアノーゼの有無といったバイタルサインと臨床所見を総合的に評価し、小児気管支喘息の重症度分類の各基準と照らし合わせて判断します。
関連知識
気管支喘息の治療薬(短時間作用型β2刺激薬、ステロイド吸入薬、全身ステロイド薬など)の適応と使用方法、喘息発作時の初期対応(体位、酸素投与、吸入治療)についても合わせて学習しておくと良いでしょう。