Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
娘さんが「同居を始めてから疲れます」と発言していることから、疲労の原因は同居による生活環境の変化にあると推測されます。看護師はまず、この生活変化が具体的にどのような影響を家族の生活にもたらしているのか、例えば介護負担の増加、家事の増加、自由時間の減少、精神的なストレスなどを詳細に聞き出す必要があります。これにより、娘さんの抱える具体的な問題点を特定し、その後の適切な支援(介護サービスの利用調整、家族への情報提供、相談窓口の紹介など)に繋げることができます。他の選択肢は、情報収集が不十分な段階での判断や、問題解決に直接結びつかないアプローチであるため、最も適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 娘さんの疲労の原因が、現在の状況変化によるストレスである可能性が高く、直ちに精神科受診を勧めるのは時期尚早です。まずは状況を詳しく把握し、必要に応じて適切な支援を検討すべきです。正しくは:現在の状況を詳しく把握し、必要に応じて精神科受診の選択肢も提示できるように準備する。選びやすい理由:疲労困憊の訴えから精神的な負担を想像し、専門医の受診を検討したくなる。混同注意:疲労が精神的なものと直結していると早合点してしまう。
- 2. 現在の疲労の原因が同居による生活変化にあると示唆されているため、幼少期の親子関係を尋ねることは、直面している問題解決には直接結びつきません。過去の個人的な情報を深く掘り下げる前に、まずは現在の状況に焦点を当てるべきです。正しくは:現在の介護状況や生活の変化に焦点を当てた質問をする。選びやすい理由:親子の関係性が現在の介護に影響を与える可能性を連想し、過去に遡って原因を探ろうとする。混同注意:介護における家族関係の複雑さを広く捉えすぎ、現在の問題から逸脱した情報収集をしてしまう。
- 3. 娘さんの「疲労」という訴えだけで、直ちにAさんの施設入所を勧めるのは適切ではありません。まずは疲労の原因や具体的な困りごとを詳しく聞き、家族の意向や現在の介護状況を把握した上で、様々な選択肢を提示すべきです。施設入所は家族にとって大きな決断であり、軽々に勧めるべきではありません。正しくは:娘さんの具体的な困りごとや希望を聞き、その上で介護サービスの種類や選択肢を共に検討する。選びやすい理由:介護負担軽減の手段として施設入所を想起し、安易に提案してしまう。混同注意:「疲労」という言葉から介護負担の限界と捉え、すぐに施設入所という結論に飛びついてしまう。
- 4. 正解。娘さんの「同居を始めてから疲れます」という発言は、同居による生活変化が疲労の原因であることを示唆しています。同居後の生活変化を具体的に尋ねることで、介護内容、家事分担、時間の使い方、精神的負担など、疲労の原因となっている具体的な状況を把握できます。この情報に基づいて、適切な支援や助言を行うことが可能になります。正しくは:適切な対応であり、修正の必要はない。選びやすい理由:一見すると当たり前の質問に見えるため、他の選択肢の方がより専門的だと感じてしまうかもしれない。混同注意:疲労の訴えに対して、より直接的な解決策を提示する選択肢があるのではないかと考えるかもしれない。
国試ポイント
家族介護者の負担をアセスメントし、適切な支援に繋げるための初期対応に関する知識が問われています。まずは状況を具体的に把握する傾聴の姿勢が重要です。
混同注意
介護負担軽減を目的とした選択肢(1や3)は魅力的に見えるかもしれませんが、まずは現状のアセスメントが最優先です。
次に同じ論点が出たら
同居後の生活変化について具体的に聞き取った後、その情報に基づいて、どのような介護サービスが利用可能か、家族の希望は何か、といった次のステップに進む。
関連知識
家族介護者支援、介護保険サービスの種類と利用方法、レスパイトケア、介護者の燃え尽き症候群の予防、社会資源の活用。