成人期早期に、見捨てられることに対する激しい不安、物質乱用や過食などの衝動性、反復する自傷行為、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りがみられ、社会的、職業的に不適応を生じるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
提示された症状群、すなわち見捨てられることへの激しい不安、衝動性(物質乱用や過食)、反復する自傷行為、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りは、DSM-5における境界性パーソナリティ障害の診断基準に合致する典型的な特徴です。これらの症状により、社会生活や職業上の機能に著しい障害が生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 回避性パーソナリティ障害の主な特徴は、批判や拒絶に対する過敏さからくる社会的抑制、不適切感、対人関係からの回避です。見捨てられることへの激しい不安や衝動性、自傷行為、激しい怒りといった症状は典型的ではありません。正しくは:回避性パーソナリティ障害は、批判を恐れて対人関係を避ける特徴があります。選びやすい理由:社交不安障害と混同されることがありますが、より広範な人格パターンに関わります。混同注意:社交不安障害や統合失調型パーソナリティ障害と混同されることがあります。
- 2. 正解。境界性パーソナリティ障害は、不安定な自己像、対人関係の激しい不安定さ、感情の制御困難、衝動性(物質乱用、過食、自傷行為など)、見捨てられることへの強い不安、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りなどを特徴とします。これらの症状が成人期早期に現れ、社会的・職業的な不適応を引き起こすことが典型的です。正しくは:提示された症状は境界性パーソナリティ障害の診断基準に合致します。選びやすい理由:衝動性や自傷行為が他の精神疾患でも見られるため、注意が必要です。混同注意:双極性障害やPTSDと症状が重複することがあり、鑑別が必要です。
- 3. 妄想性パーソナリティ障害の主な特徴は、他者の動機を悪意あるものと解釈する広範な不信と猜疑心です。見捨てられることへの不安や衝動性、自傷行為、空虚感、激しい怒りといった症状は典型的ではありません。正しくは:妄想性パーソナリティ障害は、他者への不信感と猜疑心が強い特徴があります。選びやすい理由:被害妄想的な思考が目立つため、統合失調症と混同されることがあります。混同注意:統合失調症や統合失調型パーソナリティ障害と混同されることがあります。
- 4. 反社会性パーソナリティ障害の主な特徴は、他者の権利を侵害する広範なパターンです。欺瞞性、衝動性、無責任、攻撃性などは見られますが、見捨てられることへの激しい不安、慢性的な空虚感、自傷行為(特に注目を引く目的ではないもの)は中心的ではありません。提示された症状は、境界性パーソナリティ障害の方がより強く関連します。正しくは:反社会性パーソナリティ障害は、他者の権利を無視し侵害する行動が特徴です。選びやすい理由:衝動性や法に触れる行動から混同されることがありますが、その動機や感情的背景が異なります。混同注意:行動障害や素行症、あるいは物質使用障害と混同されることがあります。
国試ポイント
パーソナリティ障害の各類型の主要な特徴と鑑別点を正確に理解しているかが問われます。特に境界性パーソナリティ障害は、精神科看護の現場で遭遇する機会も多く、その病態理解は重要です。
混同注意
各パーソナリティ障害の鑑別が難しい点です。特に衝動性や感情の不安定さは他の精神疾患でも見られるため、診断基準の核となる症状を把握することが重要です。
次に同じ論点が出たら
患者が現在抱えている最も苦痛な症状は何か、その症状がどのような状況で生じ、どのような行動に繋がっているのかをアセスメントし、個別の看護計画を立案する。
関連知識
パーソナリティ障害はA群(奇妙で風変わり)、B群(劇的で感情的、移り気)、C群(不安で恐れが強い)に分類されます。境界性パーソナリティ障害はB群に属します。また、精神力動的理解や弁証法的行動療法(DBT)などの治療法についても関連知識として押さえておく必要があります。