Aさん(78歳、男性)は、尿路感染症による敗血症で入院し、5日が経過した。中心静脈ラインから輸液ポンプを使用して乳酸加リンゲル液が投与され、その側管からシリンジポンプを使用してノルアドレナリンが投与されている。 その直後、看護師はノルアドレナリンの投与量を医師の指示書で確認した。指示書には、午前6時に2mL/時間から1mL/時間へ投与量の減量の指示が記載されていたが、午前9時の投与量は2mL/時間のままであったことに気が付いた。このときのAさんに対し看護師がアセスメントする項目で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ノルアドレナリンは昇圧剤であり、強力な血管収縮作用と心収縮力増強作用を持ちます。減量指示にもかかわらず高用量で投与が継続されている場合、患者は過度の血圧上昇のリスクに晒されます。急激な高血圧は脳出血、心筋虚血、不整脈などの重篤な合併症を引き起こす可能性があり、生命に直結するため、最も優先して血圧をアセスメントする必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ノルアドレナリンは強力な血管収縮作用を持つ昇圧剤であり、その投与量の誤り(減量指示が守られず高用量のまま継続)は直接的に血圧に影響を及ぼします。急激な血圧上昇は脳出血や心負荷増大などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、最も優先してアセスメントすべき項目です。正しくは:ノルアドレナリンは血圧に直接作用するため、減量指示が守られていない場合は高血圧のリスクを評価するため血圧を直ちに測定し、変動を確認します。選びやすい理由:他の選択肢も重要ですが、ノルアドレナリンの主な作用と投与量誤りによる直接的な影響を考えると、血圧が最も緊急性が高いです。混同注意:他の選択肢も患者状態のアセスメントには必要ですが、薬剤の作用機序と投与量誤りのリスクから考えると、血圧の確認が最優先されます。
- 2. ノルアドレナリンの過量投与は腎血流に影響を与え、尿量減少を招く可能性はありますが、血圧の異常な変動に比べると緊急性は低く、直接的な影響が出るまでに時間がかかることが多いです。血圧の確認が優先されます。正しくは:尿量は全身循環や腎機能の指標ではありますが、ノルアドレナリン過量による影響としては血圧変化が先行しやすいため、血圧安定後のアセスメント項目となります。選びやすい理由:腎血流減少による尿量低下も考えられますが、まずは原因となる血圧の異常を評価すべきです。混同注意:尿量は腎機能の重要な指標ですが、ノルアドレナリン過量の影響としては血圧変動の方が緊急性が高いです。
- 3. ノルアドレナリンはカテコラミンの一種であり、交感神経刺激により血糖値が上昇する可能性はありますが、ノルアドレナリン投与量の誤りによる直接的かつ緊急性の高い影響としては血圧の変動が優先されます。血糖値の変化はより緩やかであると考えられます。正しくは:血糖値はノルアドレナリンの影響を受ける可能性はありますが、緊急性は血圧確認に劣ります。全身状態の一部として確認される項目です。選びやすい理由:カテコラミンによる血糖上昇は事実ですが、緊急性としては血圧の異常な変動が上回ります。混同注意:血糖値も重要なバイタルデータですが、ノルアドレナリンの直接的な作用とその投与量誤りの緊急性から見ると、血圧が優先されます。
- 4. ノルアドレナリンの過量投与は、血圧上昇やそれに伴う心負荷増大により、間接的に呼吸状態に影響を及ぼす可能性はあります(例えば、肺水腫による呼吸困難)。しかし、直接的な影響は血圧であり、呼吸数の変化は二次的なものです。血圧の確認が最も優先されます。正しくは:呼吸数は全身状態の指標の一つですが、ノルアドレナリン過量投与の直接的な影響とは言えません。血圧変化が呼吸状態に影響を与える可能性はあるものの、まずは血圧の安定を図る必要があります。選びやすい理由:呼吸状態の悪化は生命に関わりますが、その原因がノルアドレナリン過量である場合、まずは血圧の異常を評価することが適切です。混同注意:呼吸数は生命維持に不可欠な指標ですが、ノルアドレナリンの主な作用機序を考慮すると、血圧の異常な変動の評価が最優先です。
国試ポイント
昇圧剤の作用機序と、その投与量変更時の患者アセスメントの優先順位を理解しているかが問われています。薬剤の効果と副作用を熟知し、緊急性の高い状態変化を早期に発見する能力が重要です。
混同注意
尿量や呼吸数、血糖値も全身状態の重要な指標であり、ノルアドレナリンの影響を受ける可能性はありますが、その緊急性と直接的な関連性において血圧が最も優先されます。緊急性の判断基準を明確にすることが求められます。
次に同じ論点が出たら
血圧の測定結果に基づいて、医師への報告、適切な投与量への変更、および必要に応じて他のバイタルサインや症状の再評価を行います。血圧が異常高値であれば、降圧処置の必要性も検討されます。
関連知識
カテコラミン系薬剤(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミンなど)の作用機序、特に血行動態への影響を理解しておく必要があります。また、投与中の患者モニタリング項目とその基準値、異常時の対応についても学習が重要です。